【川上貴裕】あなたに指導力は備わっていますか?
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: 教育論
教採塾の川上です。
ブログで取り上げてほしい話題・テーマについて、先日から公募しています
今回は、その中で、
・授業中、集中できない(注意が散漫になる)児童生徒がいるがどうしたらよいか。
・授業中に私語がやまないがどうしたらよいか。
・学級崩壊起こす先生とは?
といった話題をいただきましたので、上記について、ブログを書きたいと思います。
なんだか、このような内容は、カウンセリングちっくですね(笑)
教採塾のブログは、本来は、このような話題は取り上げません。
というのも、このような個人的なご相談は、ケースバイケースで、その学校の児童生徒や、ご本人の指導力、授業力など、詳細が一切分からないので、適切な助言ができないからです。
このような話題は、通年を通して、個人レッスンをおこなう中で、ようやく助言できるようなものですので、本来は、我々ではなく、現場の管理職や同僚に相談することが、何より一番です。
ただ、私が教師だった頃の事案も含めて、お答えすることができそうですので、今回は特別に!ブログにてご紹介します。
まず、少し耳の痛い話から。
このような相談については、どんな時も、
「集中してくれない。」
「私語をやめてくれない。」
など、「○○してくれない。」という、受け身の言葉が多い気がします。
もちろん、教育的な支援が必要な児童生徒が複数名いる場合や、教師側に非が無くとも、指示が通らない、私語が多い、集中してくれない場合もあります。
ただ、このような学級や、児童生徒を受け持っている教師の方に1つだけ、考えてもらいたいことがあります。
「あなたに指導力は備わっていますか。」
ということです。
前学年(3年生時)に学級崩壊を起こした子供たちを、4年生に上がった際に、私が担任を持ったことがありました。
教師に暴言を吐く、暴力を振る、授業中の私語も当たり前、ものを隠す、ケンカ、友達のランドセルに押ピンを刺す、図工で製作した友達の作品を壊す、などが日常茶飯事で、担任を持つ前はドキドキしていました(笑)
しかし、後述する10個の課題を意識した適切な指導力や、ネタの引き出しが多いがゆえの面白く飽きない授業、子供との意外な信頼関係の構築方法、ちょっとした工夫でできる保護者との信頼関係の構築方法、川上の人間的魅力(笑)などによって、
「この子たちが、本当に去年学級崩壊を起こしたの?!」と周りから思われるほど、素直で、ポジティブで、まじめで、仲間想いの子供たちに成長していきました。
もちろん、これには、子供たち自身の成長、保護者の協力、学年の先生などの協力も相まってこそですが、今回のブログは、この感謝を述べる訳でありません。
子供たちや学級は、指導力次第で、いくらでも修正・予防・発展させることができる、ということが言いたいのです。
そのために、まずは簡単な、以下の10個の課題を参考にしながら、指導力が備わっているかどうか、確かめてみてください。
ということで、
・指導力(授業力)の無い教師
・学級崩壊を起こす教師
・注意が散漫になる学級を作ってしまっている教師
とは、どんな人なのか、挙げていきたいと思います。
①怒ってばかり。「叱る」ということをしない。
怒る=自分の感情任せで、一方的です。
「自分にも言い分があるのに、先生は一方的に怒ってばかりで、一切聞いてくれなかった。」と不満に思った子供時代が、少なからずあると思います。
そう子供に思われた時点で、担任との信頼関係は崩壊していますよね。
授業中も、注意ばかりのマイナス要素が多く、励ましや、やる気がでるようなプラスの発言が無い教師も、反発を買うばかりですよね。
また、
何か問題があった時、過去は変えられないのに、終わったことをグチグチ言う。
こんな教師も、「感情任せで、自分本位で、指導力が無いな。」と感じます。
指導力のある教師は、「じゃあ、これからどうするか。どう解決するか。どうやったらうまくいくか。」を考えます。
怒ってばかり、注意してばかりの教師は、後述するように「忍耐力」が無く、自分の不平不満やストレスを発散できればいいのだとさえ思います。
②言うことが二転三転する。
「大人でも間違うことはある。」と思われるだけならいいですが、「大人が正しいとは限らない。」と思われるようになると、教師としての信用を無くします。
中高生くらいだと、「軸が無く、信念も大して無いから、言うことが二転三転するのだ。」とさえ、思われかねません。
③問いが質問ばかりで、発問がない。
質問 = 答えが決まっているもの。答えが1つのもの。そこから話題が広がらないもの。
発問 = 答え(意見)が次々と出てくるもの。
講座でも、模擬授業を拝見し、講評を述べることがありますが、多くの教師は、発問ではなく、質問ばかりです。
質問ばかりなのに、教師側は、「発問をして、子供たちを考えさせている。」と勘違いしています。
それでは、子供たちも飽きますし、私語もし始めるでしょう。
実にくだらない授業ですから。
④子供が発言した時のフォローが悪い。
子供の発表の回答が、思ったものと違った場合や、間違っていた場合、または、せっかく勇気を出して、あるいは、発表が恥ずかしくて嫌なのに、当てられたから答えざるを得ない場合、フォローはきちんとしていますか?
講座で模擬授業を見ていても、よくあるのが、
「いい答えだね!」
「すごいね!さすがだね!」
というように、教師側に都合の良い回答ばかりを褒めている場面をよく見かけます。
間違った子供をフォローする際も、
「ちょっと違うね。」
「うーん、そうじゃなくって。」
「ほんとにー?」
というような雑なフォローしかできない教師がいます。
そんなことだから、子供たちはやる気を無くし、授業からどんどん心が離れていくのです。
⑤板書、印刷物などに誤字脱字が多い。
些細なことのように思えますが、こういうちょっとしたもので、子供たちの集中力や、授業の流れは止まってしまいます。
そうなると、私語や注意が散漫になるのは、至極当然のことでしょう。
⑥児童生徒の作品やテストを長期間返却しない。
これは、若手教員に多いのですが、意外とやっている人が多いようです。
私の同期の話を聞く限りでも、例えば、
学級崩壊後に、その担任は病休に入り、代理の先生がその学級の机や棚を見てみたら、やっていないテストが出てきたり。
テストはしていても、点数をつけていない、返していないものが出てきたり
このような話を、今年だけでも4件近く聞いています。
言語道断ですよね。
そりゃ、学級崩壊も起きることでしょう。
ちなみに、やはり、この4件とも学級崩壊を起こしています。
⑦教室前面の環境が悪い。
前面に掲示物が多かったり、ものが沢山置かれたりしていたら、落ち着きの無い子供などは、目に入ってくる情報量が大きすぎて、すぐに集中力が切れてしまいます。
時計も、前に設置されている学校が多く、例えば休憩時間まであと少し、という場合は、子供は、時間ばかり気にして授業に集中しません。
残り時間が苦痛にしかならないのです。
私は、時計は後ろの出入り口付近に設置し直していました。
これは、簡単な方法ですが、集中力を維持させる上で非常に役立ったと自負しています。
教室の全面や黒板横は、動線やユニバーサルデザインを意識し、集中力が欠ける子供にとっては助かる配置、他の子供にとっては、より便利になるような配置を心掛けることで、全ての子供が快適な環境で生活できるように、心がけなくてはいけません。
⑧先の見通せない「めあて」や導入。
めあてを読んでみても、落としどころ・具体的な到達点が分からなかったり、興味が惹きつけられるような導入でなかったりする場合は、学習意欲は無くなり、集中力も欠けてしまいます。
⑨待てない教師。
授業中に私語が続く場合、すぐに注意していませんか。
「教師は、どれだけ忍耐力があるか。」ということもよく言われますが、まさしくその通りでしょう。
特に、新学年が始まってから、GWまでの間は、非常に大切です。
この期間、子供たちは、
「この先生はどこまで許してくれるのだろう。」
「どんなことをしたら、怒られるのか。」
というようなことを声には出しませんが、観察しています。
4月・5月期、私は、私語が続く場合は、すぐに話すことを止めていました。
私語をしている子供がそれに気付くまで、じっと教卓の前で、待っています
人間は不思議なことに、急にその場が静かになると、異変を察知するようになっています。
授業中、落書きに集中していたとしても、先生の声がぱったりと止むと、なぜかそれを察知して、顔をあげた経験が、皆さんにもありますよね?(笑)
というように、子供たちがその異変に気付いたら、「お話は楽しかったですか?」とだけチクリと皮肉を言って、すぐに授業に戻ります。
これ以上は言いません。
間違っても、「ん?授業で何か質問があったかな?今話していたこと、みんなに発表してよ。」と嫌味を言うのは、高圧的で、子供に不愉快な思いしか残さないのでNGです。
それ以降は、他の集中している子供たちへの迷惑、「お話は楽しかったですか?」と言われた時に、みんなに注目される恥ずかしさから、自然と私語は無くなります。
また、他の子供が、私語をしている子供の机をトントンと叩いて、注意をしてくれるようになります。
4月・5月期に、「先生が話を止める=私語をしている子がいる。」と、ここまでを子供の思考に植え付けることが大切です。
4月・5月期は、多少授業が遅れても、取り返せます。
焦る気持ちはあっても、ひたすら忍耐です。
ここで忍耐(我慢)ができないと、他の注意や指導も全く入らなくなります
⑩縦の糸、横の糸、斜めの糸。
中島みゆきさんの歌のことではありません(笑)
縦の糸は、大人と子供という立ちや、厳しさの度合いを示します。
横の糸は、友達同士のような立ち位置、親しみやすさの度合いを示します。
縦の糸ばかりに力を入れると、「怒る先生」、「厳しい先生」という印象が強くなり、子供たちは反発するか、「怒られたくないから大人しくしておく」という、いわゆる恐怖政治のような状態になります。
横の糸ばかりに力を入れると、子供は教師をナメ腐ってしまいます。
新採の教師に多いのですが、子供たちに気に入られようと、あるいは、仲良くしようと思って、この横の糸にばかり力を入れて、ナメられて指導が一切入らなくなり、学級崩壊や病休になる方を毎年必ず聞きます。
縦も横も駆使しつつ、バランスよく、斜めに糸を張るイメージで「厳しさの中にも親しみやすさがある教師」、「厳しくも優しくも頼りになる教師」を常に意識しておかなければいけません。
さて、ものすごく基本的、かつ、簡単な10個の課題でしたが、いかがだったでしょうか。
少しでも、参考になればと思います。
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では、また来週水曜日に。
川上 貴裕