昨日の大阪での面接の単発講座で、受講者のお一人から、質問がありました。
教員採用試験の面接官をつとめた経験のある方から、XXXした方がよいと言われたのですが、どうでしょうか?
そのXXXというのは、まったくのナンセンスで、そんなアドバイスに従っていたら、不合格まっしぐらというようなものでした。
そこで、私は、講座で、受講生の皆さんに次のようなお話をしました。
ソムリエは、ワインの味を知り、見極めるプロです。
ソムリエは、ワインの蘊蓄を語ります。
でも、ソムリエには、ワインを作ることはできません。
ワインは、ワイナリー(ワインメーカー)が作ります。
いくら、ソムリエが、ワインについての蘊蓄を語れても、葡萄の育て方は知りません。ワインの醸造の秘訣は知りません。
知識では、知っていても、実際にワインは作れません。
グルメも同様です。
グルメの人は、料理の味を見分けられます。
食材の良さや、繊細な味の違いもわかるでしょう。
でも、グルメの人は、料理を作ることはできません。
グルメは、料理を味わい、良い料理を判定することはできます。
でも、グルメの人は、料理人ではないので、食材をどう調理すれば、どのような味になるかを、自分で実際に料理することはできません。
面接官経験者の方には失礼かもしれませんが、面接官は、優れた人材を見分ける眼はあるかもしれません。
面接で対話して、この人は信頼できる、この人は信頼できないといった、人物評定はできるかもしれません。
面接官は、語りを聞いて、良い語り、そうでもない語りと、語りの良し悪しを見分けることもできるかもしれません。
でも、面接官は、語りのプロではありません。
どうすれば良い語りになるかを知っていて、しかも、それを実行できるプロではありません。
面接官は、スピーチライターではありません。
面接官は、コミュニケーションのプロではありません。
面接官は、パフォーマンスのプロではありません。
面接で、受験者に優劣を付けることができる能力と、どうすれば、面接官に好感・共感・好印象を持ってもらえるような語りのデリバリーとパフォーマンスができるかを教授する能力とは、まったく違います。
元面接官に教採の面接を指導してもらうときの秘訣は、自分の語りが合格に値するものかどうか、つまりは、良い語りになっているかどうかを教えてもらうことです。
元面接官は、語りの良し悪しを判断する能力はあります。
でも、元面接官は、どうすれば良い語りになるかの方法論、具体的な修正法を提案する能力は、ほとんどの場合ありません。
決して、元面接官を侮辱しているわけではありません。
能力の分担、能力の専門性について語っているだけです。
ソムリエはワインを品評できますが、ワインを作ることはできません。
グルメの人は料理を品評できますが、料理を作ることはできません。
面接官は語りを評価できますが、語りを作ることはできません。
元面接官には、皆さんの語りを評価してもらってください。
きっと有益な評価をくださるはずです。
大いに元面接官を活用してみてください。
でも、ほとんどの場合、元面接官は語りを作れません。
これを試す簡単な方法があります。
その元面接官が、素晴らしい語り手かどうかということです。
その元面接官が、素晴らしい語り手で、語る言葉がすべて心に響くような素敵な語りを常にしている人なら、その人は、語りを作る能力があるはずです。
もし皆さんが、誰かに語りについて助言を受けるのなら、その人の語りを聞いてください。
その人が、語りの名手なら、その人は、語りの作り方を知っています。
でも、その人の語りそのものに、魅力がなければ、その人は、他人の語りは評価できても、どうすれば良い語りを作るのかを知ってはいません。
他人の語りの評価は誰でもできます。
どうすれば良い語りになるかを明確に説明することは、誰にでもできることではありません。
ですから、どうか、皆さん、面接の語りは、語りの上手な人に学んでください。
どんなに肩書きがあっても、その人の語りが上手くなければ、学ぶものはあまりありません。
語りは技術です。
語りはサイエンスです。
語りはアートです。
語りを教えることができるのは、語りに優れている人だけだということを忘れないでください。
2次試験の面接までに、語りの上手な人を見つけてください。
語りの上手な人に出会うことが、皆さんの合格を確実にしますから。
では、また明日!!
河野正夫
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