教員採用試験の受験者は,合格を勝ち取ろうと必死です。
必死であることは素晴らしいことなのですが,必死が裏目に出てしまうと,姑息になってしまいます。
姑息になると,採用側(面接官)の心は動かせません。
動かせないだけでなく,反感さえ買うことがあります。
いくつか例を挙げてみましょう。
1.なぜこの県を受けるのですか?
この問いに対して,その県が故郷であれば,特に問題は起こらないのですが,自分の故郷,あるいは,大学等のため現住所がある県以外を受ける場合には,時として,姑息になってしまうことがあります。
全然ゆかりもない県を受ける場合,多くの受験者は,「この県のXXXという施策に感銘を受け」などと言います。
実際は,パンフレットか,ホームページでちょこっと見ただけです。
教採の志望県を決めるというのは,自分の一生の仕事と居住地を決めるくらいの決断なのですから,本当に感銘を受けた施策ならば,実際に公開授業を見学するなり,その施策についての講演会を聞くなり,現地に足を運んだりするはずですよね。
でも,本当は,感銘など受けてはいないので,その施策については,何も知りません。ただ,パンフレットやホームページに書いてあったことだけを知っています。
それなのに,そんなあやふやなものを,その県を受験する志望理由にします。ほぼ,ウソつきのレベルです。
教採の面接官は,こんな姑息な嘘つきを絶対に許さないでしょう。
2.広島県でも広島市でもいいですか?
たとえばの例ですが,広島県・広島市の場合,願書に,県がいいのか,政令市である市がいいのかを聞くところがあります。
これには,県がいい,市がいい,どちらでもいい,という選択肢が用意されています。
ほとんどの人がどちらでもいいを選んでいるようです。
多くの人が姑息な理由で選んでいます。
県でも市でもいいと答えておけば,合格する可能性があがるかもしれない,などと思っています。
愚か,かつ,姑息です。
例えば,広島県の場合,教採の成績の上位30%の人は,その希望地に行けます。
希望地を書いていなければ,教採の成績が上位30%でも,希望地にはいけないということになります。
また,合格者の中で成績が良くなかったとしても,例えば,合格者の成績の最下位の人がいたとして,その人が,広島県(広島市)に行きたい!と書いてあれば,行きたい人を行きたい場所で採用したいと思うのではないでしょうか?
どちらでもいいとは,どちらにも思い入れがないということですから,私なら,広島県の採用側でも,広島市の採用側でも,そんな思い入れのない人は採用したくないですね。
本当に,どちらでもいいのならばともかく,県がよければ県,市がよければ市と書けばいいし,その方が,結局は,合格可能性が高まります。
姑息な人は,いろんなところで,姑息な策を弄して,不合格になります。情けないことです。
3.あなたのXXXの経験について話してください。
姑息な人は,この質問への回答の最後に必ず,「この経験を活かして・・・・・」というのを付け加えます。
まったく活かせそうにない経験でも(笑),無理してこじつけて,「この経験を活かして・・・・」と言い添えようとします。
やはり姑息なんですよね。
何か経験をいったら,それが教師という仕事に活かせると言えば,ちょっとでも得点が上がるとでもおもっているのでしょうかねえ。
確かに,経験をどのように教師として活かしていくのかということは,面接官にとっては気になるところです。
経験をうまく活かせていければ,それは素晴らしいことです。
でも,パターン化された「これを活かして・・・:」というのは,聞いていてつまらないですし,うんざりします。
そんなパターン化されたことを言うよりは,あなたのユニークな経験をありありとインパクトを持って,想いと情熱とともに語ることができれば,むしろ,面接官の方が,「この人は,この経験をしっかりと教師としても活かせる!」と感じてくれます。
そうなんです。
活かせるかどうかは,あなたがこじつけで言うのではなく,面接官があなたの話を聞いて,「この人はこれを活かしてくれる!」と感じさせることができるかどうかなのです。
姑息は人は,聞き手の心を動かすという視点を持っていません。
姑息な人は,聞き手がどう感じるかという視点を持っていません。
姑息な人は,独りよがりに考えた姑息な語りで聞き手に気に入られようと不毛な話をします。
姑息にならないためには,
自分という人間をしっかりと持つこと。
正直に自分の想いや情熱と向き合うこと。
自分の想いや情熱を自分の言葉で表すこと。
聞き手の心を理解し,聞き手の心に響く語りをすること。
が必要です。
もしあなたの面接対策が,姑息なことを言ってなんとかしようという低レベルなものであるならば,いますぐに改めてください。
姑息な想いで,人の心を動かせるわけがありません。
だから,面接で不合格になるのです!!
このことをお忘れなく!!
では,また明日!!
河野正夫
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