教員採用試験の面接で合格を勝ち取るための面接演習は極めて重要です。
そして,この面接演習には,ある重大な要素が必要です。
その要素というのは,
指導者(助言者)のインスタント・リメイクがあるかどうか?
ということです。
面接演習を受験者仲間だけでやっていたのでは,場慣れにはなりますが,語りの力の向上には近づきません。
やはり,指導者(助言者)が必要です。
しかし,たとえ,指導者(助言者)がいたとしても,その指導者が,ただ単に,
もう少しわかりやすく話した方がいいなあ。
もう少し表情を明るく,元気に。
それでは,自分のことだけを話していることになるので,もっと教育に結び付けて。
などと言うだけではダメなのです。
指導者がそう感じ,指摘するのならば,
「私なら,例えば,こういう風に語るよ。」
と,どう語るかを示す必要があります。
つまりは,「もう少しわかりやすく」ではなく,どうすればわかりやすく話せるのかの具体的な方法を示す必要があります。
ただ「もっと明るく,元気に」ではなく,どうすれば,明るく元気な表情や雰囲気をつくれるのかの具体的な方法を示す必要があります。
「もっと教育に結び付けて」が,せいぜい,「これを活かして・・・」を付け加えるぐらいなら,指導者がそこにいる必要はありません。自分のエピソードを教育の文脈で語る戦略を指導者は指南すべきなのです。
もし,指導者が,単なる感想を言い,単なる思い付きの助言をするだけなら,そこにいる意味はあまりありません。
指導者なら,助言者なら,コーチなら,まずやってみせて,学習者になるほど!と思わせることが必要です。
こういうと,最近はやりのアクティブラーニングを持ち出して,指導者が答を出すのではなく,学習者に考えさせることが必要!と言い出すかもしれません(微笑)。
指導者がなにもしないのなら,指導者はそこにいる必要はありません。アクティブラーニングにかこつけて,自らの職責を放棄してはいけません。
また,仮に,学習者には,すぐに答を言わないとしても,指導者自身,答を知っていなければ,指導者失格です。
指導者自身が答も方向性も本当はわからないのに,ただ,学習者にアクティブに考えさせればいいなんて,言語道断です。
山本五十六大将の言葉として有名な,
やってみせ 言って聞かせて させてみて
褒めてやらねば 人は動かじ
という名言も,一番最初が,「やってみせ」なんですよね。
もちろん,学習の順序として,「やってみせ」が最初である必要はないかもしれませんが,どこかで,指導者が「やってみせ」ないことには,その指導者の存在価値はないと言わざるを得ません。
私は,自分自身にこのことを課していて,面接や模擬授業の語りを指導するときには,必ず,自分ならこう語るというのを披露するようにしています。
面接であれ,どの教科の模擬授業であれ,場面指導であれ,受講者の語りにコメントするときには,原則として,必ず,自分ならこう語るというのを付け加えています。
もう14年間もこれを続けているので,どの教科でも,どんな語りでも,かなり慣れてきて,私が自分ならこう語るというのを披露すると,歓声や拍手をいただけることが多くなってきました!(微笑)
自分の語りを自慢するためにこの文章を書いているのではありません。
面接や模擬授業の指導は,インスタント・リメイク(その場で,即興で,模範となり,心を動かす優れた語りを披露すること)がなければ,学習者は,いつまで経っても,闇の中です。
別に,ゴーストライターになるのではありません。
良い語り,優れた語り,人の心を動かす語り,そして,合格する語りのサンプルをできるだけ多く提示することで,学習者の語りの感性を向上させるのです。
語りの感性を向上させるだけでなく,学習者が感じている不安を解消し,こういう方向性で考え,語れば,自分も合格する!という自信を与えることにもつながります。
7月と8月に開講する各種講座では,私は,すべての講座で,徹底的にインスタント・リメイクをしていくつもりです。
どんな語りが面接官の心を動かすのか,どんな語りが教採合格を勝ち取れるのかのサンプルをできるだけ多く,提案していきます。
単なる思い付きや感想ではなく,レトリック理論やコミュニケーション理論に基づいた人の心を動かす語りのサンプルを数多く,披露していきます。
私とともに,7月・8月の講座をアシストしてくれる,川上貴裕もRyoさんも,きっと,それぞれの立場から,インスタント・リメイク的なアドバイスやサジェスチョンをしてくれることでしょう。
インスタント・リメイクができない指導者は,指導者にあらず!
このことを肝に銘じて,7月・8月の講座に臨みます!!
では,また明日!!
河野正夫
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