昨日、元日の昼前、名古屋城内を散歩しました。
新春の陽光が気持ちよく、年の初めのそよ風を楽しみながら歩いていました。
すると、大道芸をやっているのか、人だかりができていました。
大道芸は大好きなので、どんなパフォーマンスだろうかと人ごみに混ざっていきました。
大道芸は、フォーク曲げでした!!
パフォーマーは、20代前半に見える若者。
フォーク曲げの技は鮮やかでしたが、それよりも、トークが面白い。
トークで聴取を笑わせ、聴衆を虜にしていました。
そして、そのトークも計算され尽くしたもので、言葉の一つ一つに無駄がありません。
最初は、「フォーク曲げねえ。。。」と思って見始めた私は、次第に、そのトークとパフォーマンスに引き込まれていきました。
聴衆を引き込んだ後のフォーク曲げはまさに鮮やか、さらに、小学生くらいの子供に手伝ってもらうという聴衆参加型。しかも、子供への話し方は、教員も見習いたいくらいの完璧な声かけ型。
素晴らしい!!
私は、新春の光の中で、そのパフォーマンスに見入っていました。
パフォーマンスの最後のあたりで、そのパフォーマーが挨拶を始めました。
「多くの皆さんに足を止めていただき、ご覧いただいたことに感謝します。
お正月にこんなに多くの方々に大きな拍手をいただいて本当に嬉しいです。」
といった感じで話し始めました。
職業柄、こういうスピーチ(語り)には、自然と注意を向けてしまいます。
どんな挨拶になるのかなと、興味津々で聞いていたら、そのパフォーマーは、次のようのように言いました。
大道芸は、最初は、お客さんがいないところから芸を始めます。
そして、そこから、少しずつ足を止めてくださるお客さんが増えてきます。
その言葉を聞いて、私は、胸が熱くなりました。
大道芸は、道ゆく人がいるところで、芸をします。とくに観客席があるわけでもありません。
通りがかりの人が面白そうだと思えば立ち止まる、そこから聴衆ができます。
このパフォーマーさん、実は、名古屋のテレビなどにも出演したこともある、地元では、かなり、名の知られた方のようです。
私が立ち止まった時には、すでに50人以上の人が、聴衆となっていました。
でも、そのパフォーマーは、挨拶で、「大道芸は、お客さんがいないところから始めます。」と言いました。
きっと二つの意味があるのでしょう。
一つ目は、ある程度、有名になればそれなりに人は集まるけれど、大道芸を始めた最初の頃は、まったく人が集まらないところからスタートした、ということ。
二つ目は、有名になったとしても、大道芸は、人通りがある場所で、最初は、誰も聴衆がいない状態から初めて、だんだんと通りがかりの人が立ち止まって、聴衆になってくれる、ということ。
いずれにしても、人を魅了し、人を引き込む力がなければ、人は立ち止まってくれませんし、聴衆にはなってくれません。
いずれの意味でも、大道芸は、ゼロから始めるんだなと感動しました。
挨拶が終わった後、もう数分ほど、パフォーマンスがありました。
フォーク曲げに特化したパフォーマンスが、とても輝いていました。
というよりも、聴衆の多くは、曲がったり、まっすぐなったりするフォークの方をそんなには見ていませんでした。
聴衆の多くは、若きパフォーマーを見ていました。
私も、このパフォーマーの語りや表情に集中していました。
本当に輝いていたパフォーマーでした。
一瞬にして、子供を、大人を、高齢者を虜にしていました。
誰もが、笑い、微笑み、頷き、歓声を上げていました。
フォークが曲がったからではなく、このパフォーマーのパフォーマンスそのものに、拍手と歓声が起こっていました。
感動しました。
しばらく、そこに立ちすくみました。
こんな風に人を魅了する声、表情、雰囲気、技を持っている人がとても羨ましく感じられました。
そして、なにより、どんな能力・魅力があろうと、大道芸はゼロからスタートするというその想いを聞いて、心のそこから尊敬しました。
ホテルに帰り、そのパフォーマーのホームページを見ました。
そこには、彼の信念が書かれていました。
フォークは曲げても信念は曲げない。
さすがです!!
心から尊敬します。
人はみんなゼロからのスタート。
ゼロからどれだけ積み上げられるかが勝負。
ということを改めて実感しました。
1月1日、私は素敵な想いをプレゼントしてもらったような気になりました。
では、また明日!!
教採塾
河野正夫
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