この言葉を聞いた瞬間、この人たちは、教採には合格しないかもしれないなと思いました。
結果は、この言葉を言った人は、全員が不合格でした。
「XXが教採には出ないから、勉強しない。」
よく聞く言葉ですが、重大な危険をはらんでいます。
教員採用試験の勉強も、受験勉強の一つですから、効率的に勉強する必要があります。
無駄を極力減らして、効率よく、勉強することは重要です。
その意味では、勉強する対象を絞り込むことも、時として、合格のための大切な戦略です。
でも、ど素人がこれをやると、戦略ではなく、逃避になります。
ど素人は、何が重要かを選ぶのではなく、何をやらなくてよいのかという、逃避の対象を探しがちです。
例えば、教育史は出ないから教育史を勉強しないと言っても、教育原理の中で、教育史的な問題が出ることはあります。
試験に出る出ないを決めるのも、直近の2、3年の過去問をちょこっと見たり、友達や先輩に聞いた程度の情報を元にして決めます。
そして、出ないと勝手に判断して、やらずに失敗します。
一昨年、岡山県が一般教養の筆記試験を廃止した時に、私は、ならば教職教養の筆記試験が充実するはずだから、これまでは出ていなかった教育心理が出るはずだから、勉強しろといいました。
しかし、それまで岡山県の教職教養では、教育心理が出ていなかったので、「教育心理は勉強しなくてもいい」という都市伝説がまかり通っていました。
私は、岡山県受験者には、その年は、教育心理をしっかり学ぶように言いましたが、多くの人は耳を貸しませんでした。
実際には、教育心理が出題され、私の助言をきちんと聞いていた人は高得点を取り、教育心理を勉強していなかった人の合格率はさんざんなものでした。
ここがプロフェッショナルの予測と、ど素人の逃避の違いなのですが、逃避したい人には、分かってもらえません。
さて、話を模擬授業に戻します。
模擬授業の語りは、授業での語りですから、相手に物事を伝え、相手の心を動かし、相手に興味関心を芽生えさせ、相手に達成感や共感を持たせる語りです。
ですから、模擬授業が上手い人は、個人面接も場面指導も集団討論も上手いのです!!
模擬授業は、分かりやすく、端的に、明快に話す必要があります。
模擬授業の時と、面接の時の顔が180度違っているようではダメです。
模擬授業は子供相手、面接は面接官相手という語りのモードの違いはあっても、人の耳に響き、心を動かす語りには、共通するものがあります。
自分の志望先には模擬授業がないからと言って、模擬授業の練習を一切やっていないと次の3つの視点が抜け落ちていきます。
(1)興味深い話、好奇心を持たせる語りをするという視点。
(2)知らない人に、分かりやすく、端的に話すという視点。
(3)相手(聞き手)を予測し、その予測にもとづいて戦略的に話すという視点。
当然ながら、面接でも上記の3つの視点は重要ですが、どうしても、面接演習ばかりやっていると、面接質問への回答原稿をつくって、模擬面接ばかりしているという単調な準備になります。
しかし、模擬授業の演習をやると、個人面接での話し方もずいぶんと違ってきます。
模擬授業の演習をやると、人前での語りの力が飛躍的に向上します。
ですから、模擬授業の演習は、ある意味で、究極の面接の演習となるのです。
こんなことも知らずに、「志望先には模擬授業がないので、模擬授業の練習はしません。」なんて言う人は、やはり、今年も、教員採用試験には合格しないんだろうなあと思ってしまいます。
模擬授業の語りは、実は、語りの基礎であり、面接や場面指導の土台にもなります!!
皆さん、模擬授業を悪う者は、面接に泣きますよ!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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