意味は、「本などを読んで、その内容を知っていても、その本当の意味するところを理解していないため、その知識を、活用し実行できないことのたとえ」という感じです。
今日、シドニーを歩いていて、
コミュニケーション好きのコミュニケーション知らず。
という言葉が頭に浮かんできました。
意味は、もちろん、「コミュニケーションという言葉を知っていても、その本当の意味するところを理解していないため、実際に人との対話がうまく行かないこと」という感じでしょうか(微笑)。
例えば、英語。
英語はコミュニケーションのツールだとよく言われます。
確かにそれはある意味では正しい。
ここまでは良いのですが、ここからが大変です。
人によっては、英語は単語だけでも通じるとか、中学生レベルの英語で十分だなどと、さも英語で話すことが容易いということをことさら強調します。
英語で話すことが容易くないというつもりはありませんが、単語だけで通じるとか、中学生レベルの単純なセンテンスだけですべてがうまくいくなどと力説するのは、英会話本を売りたいダメダメ著者の妄言です(微笑)。
今日、次のようなことがありました。
シドニーのある洋服店で、下着のシャツを買いました。自分としては、半袖のシャツのつもりで買ったつもりでしたが、実は長袖のシャツでした。買い物をして、10分後にそれに気づきました。
そのお店では、商品を間違えたり、気に入らなかった場合は、レシートがあれば、30日いないなら交換してくれます。ただし、下着は除くとレシートに明示してあります。
下着という性格上、このルールは納得できます。
さて、ルールを厳格に当てはめると、上記の場合、交換はできないことになります。
しかし、購入してから、まだ10分後です。
こういうときには、単語だけのやりとりや、中学生レベルの英語では無理ですよね。
いきなり、レジに行って、”Exchange”といってもダメです。
また、中学生レベルの英語で、”I want short sleeves. These are long sleeves.”といっても、「交換はできない規則です!」と言われるのがオチです。
こういうときは、日本でも、英語圏でも、店員さんに、
「本当は、下着は交換できない規則ですけど、お買いになってからまだ10分後ですし、今日は、特別に交換させていただきますね。今日だけですよ、」
と言ってもらえるように、話を持っていく必要があります。
あまりに理屈を優先して、「買ってまだ10分なのだから交換しろ!」という風な言い方をすると、店員側も、「規則だから交換できません」となります。
こういった場合は、話し手の表情、態度、そして、表現の手際の良さが求められますよね。
店員さんに、「しょうがないなあ。今日だけですよ。」という風に、思ってもらえるようにする必要があります。
これがコミュニケーションです。
意味が伝わるだけでは、コミュニケーションではありません。
意味が伝わった上で、自分が目指す目標を達成するのがコミュニケーションです。
ここを間違えてはいけません。
“Exchange”
“No, we cannot exchange these.”
というやりとりでは、英語としての意味は通じ合っていても、目標はなんら達成されていません。
こんな単語文では、解決できない課題なのです。
英語を話すということを、ただ、意味が通じれば良いというのは、そこらじゅうで、
Will you marry me. (結婚してください。)
と言い歩くようなものです(笑)。
意味は、伝わるでしょうが、みんなから、”No” あるいは、”Are you crazy?” と言われることでしょう。
単語だけで英語は通じるとか、中学生レベルのセンテンスで絶対大丈夫なんていう妄言に騙されてはいけません。
たいして良くもない英会話本を売りたいだけの宣伝文句なのですから。
コミュニケーションの定義は、決して、「気持ちを伝えること」だけではありません。
本当の定義は、「気持ちを伝えて、目標を達成すること」です。
アリストテレスは、レトリックを、「説得の技術」と定義しました。
もう少し、ヒューマニスティックに表現すれば、
想いの連鎖で人を動かす。
となるかもしれません。
ちなみに、「想いの連鎖で人を動かす」は、広島教採塾のモットーのひとつでもあります(微笑)。
シドニーの街を歩きながら、コミュニケーション好きのコミュニケーション知らずという言葉が頭から離れませんでした(微笑)!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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