私には、あきらめない心がある。
私の長所は、チャレンジ精神だ。
私の強みは、忍耐力と持久力だ。
私は、コミュニケーションを大切にしている。
私には、継続力がある。
こんな感じです。
そして、これでは、まったくのダメダメです。
あまりにも当たり前すぎるからです。
大人で、社会人で、職業人ならば、あきらめない心があるのは当然です。いつもいつも、「じゃあ、いいや!」と投げ出していては仕事はできません。
職業人ならば、「あきらめない心がある」よりも、必要に応じて「あきらめのタイミングを知っている」という方が、はるかにインパクトがあるでしょう。
また、職業人なら、大人なら、忍耐力や持久力があるのも、当然中の当然です。こんなことを自慢しても、何にもなりません。それでも、あえて自慢するであれば、相当な忍耐力や持久力があるというのを、インパクトのあるエピソードで語る必要があります。
コミュニケーションを大切にしているのも、継続力があるのも、大人としては、社会人・職業人としては、当たり前です。コミュニケーションを大切にしないと胸をはって言える人を探す方が難しいくらいです。継続力も当然です。職業人が、ものごとを続けてやる能力がないなんて、ありえません。
こんな当たり前のことを、さも自慢げに、アルバイトか部活動かボランティア活動での、ちょっとした経験に結びつけて、賢しらに語っても、面接官の失笑を買うだけです。
さらに人によっては、「当たり前のことを当たり前にすることができます!」と元気いっぱいに自己アピールで言ったりします。本人は、かっこいいつもりで言っているのでしょうが、こんな語りには何の価値もありません。
当たり前のことを当たり前にするのは、それこそ、当たり前であって、わざわざ話す価値も、聞く価値もありません。価値のないことを面接の場で言うのは、百害あって一利なしです。
子供ならば、当たり前のことができたら、褒めてあげるという指導のあり方もあるでしょう。
でも、大人が、当たり前のことができるからといって、それを長所や強みにしようなんて、無理なんです。
そろそろ、お子ちゃまマインドから、大人の心に切り替えて、「誰でも言える平凡な当たり前」から、「あなただけが言えるユニークな価値ある語り」への転換を図る必要があります。
あなたが勝手に思いついた当たり前のことを語っても、面接官の心には響きません。というより、あなたも含めて、誰の心にも響きません。
面接の語りで、面接官の心を動かそうと思ったら、
聞く価値のある内容を、聴きたくなるような話し方・表現で語る
ことが何よりも重要です。
当たり前のことを当たり前に言うだけでは、聞く価値がありません。みんな知っていることを、あなたが平凡に繰り返しても、そんな語りを聞く価値はありません。
当たり前のことを語るにしても、視点を変えてみる、切り口を変えてみる、表現を工夫してみるなどの戦略が必要なのです。
単に、
「私には継続力があります。」
では、あまりにも、当たり前で、聞くべき価値がありません。
それよりも、
「継続力を保つためには、あきらめる力が必要です。優先順位が低いものをいったんあきらめ、優先度が高いものを続けるようにすることが秘訣です。私には、そのあきらめる力があります。言い換えれば、優先順位をつけて行動することが得意です。」
のようにすれば、聞き手は共感してくれるでしょう。
単に「継続力がある」とアピールするのではなく、継続力を保つためには、優先順位を付けて続ける必要がある、そして、そのことは、優先順位の低いものをいったん「あきらめる」力が必要だと、逆説的に述べるのです。これがインパクトを生みます。
聞くべき価値があるとは、聞き手が、「なるほど!そういう考え方もあるなあ!」と納得してくれるということです。
聞き手に聞くべき価値がないようなことをいくら語っても、面接で合格を勝ち取ることはできません。
思いついた当たり前のことではなく、相手にとって聞く価値のあることを語るという姿勢が重要ですよ!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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