そして、幸運なことに、最高のティーム・ティーチャーをお招きすることができました。
私の8年前の教え子で、現在は、ある県で、特別支援教育のホープとして、大活躍をしているH先生です。
H先生は、勤務県以外でも、県からの出向で、日本最先進の特別支援学校で教育・研究を積まれたり、また、勤務県でも、先進的な教育を実践されています。
H先生は、授業研究のプロフェッショナルでもあり、特別支援教育以外の授業にも非常に適切なアドバイスやサジェスチョンをくださいます。
8年前は教え子とはいえ、私が心から「先生」とお呼びしたい方です。
こんな素敵な方が、ボランティアで、12時間お手伝いに来てくださいました。
本人は「河野先生への恩返しですよ。」とサラッと言ってくれましたが、実は、彼は、東京での休暇を1日早く切り上げて、広島県福山市まで駆けつけてくれていたのです。
模擬授業の特訓中、H先生のきめ細かく、しかも、適切な指摘に、受講生はもちろん、私も大いに感銘を受けました。
12時間の講座の最後の講話も、彼の話に私は胸を打たれました。話の内容も素晴らしいものでしたが、8年前、大学生として私の教員対策講座にいた「H君」が、いまは若手教師のホープとしての「H先生」として、次の世代の教師になる受講生に熱く語っている姿を見て、私は本当に嬉しく、幸せに思いました。
振り返ってみれば、8年前、「H君」の面接の語りや、模擬授業にも、私は厳しく指導しました。確かに、「H君」は、8年前もかなり優秀な受講生でしたが、それでも、私はデビルとなって、厳しく指導しました。
その8年前の「H君」が、今日は「H先生」として、休暇まで返上して、私の講座を助けに来てくれました。
彼は、はにかみながら「恩返し」と言ってくれましたが、彼には、次世代の教師をしっかり育てたいという確固としたビジョンがあったようでした。
私が育てた若者が、次の若者を育てる。
当たり前のことではありますが、それを目の当たりにすると、やはり、嬉しく、ありがたく、感動します。
講座の後、H先生は、1時間半だけ、懇親会にお付き合いくださいました。
ビールを2,3杯飲まれた後、H先生は、「皆さんには、いい先生になっていただきたいですね。それには、学び続ける姿勢が大切です。教師になるためだけはなく、教師になってからも学び続ける先生になっていただきたいですね。」とおっしゃっていました。
ご本心だったのだと思います。
教採対策の模擬授業演習の12時間のティーム・ティーチャーとして起こしていただきましたが、H先生は、教師になってからの指導力の向上も見越しながら、ご指導くださいました。
H先生は、教採合格にかける努力と同じくらいの努力を、教師になってからも続けてほしいと仰っていました。
講座では、「教採対策」ということもあり、あまり強調はされませんでしたが、H先生は、教師になってからも、本気で学び続けることが、教師としての努めであるとおっしゃっていました。
私も、まさに同感です。
教採に合格し、教員になってからが、本当の勝負です!!
8年前の受講生だった「H君」が、そんなことを、そっと伝えに来てくれていました。
彼は「恩返し」だと優しく言ってくれましたが、実は、「恩送り」だったようです。
私が彼に教えた何かを、彼は次世代に送ろうとしてくれました。
大学生だった彼に、私が触発したものを、彼は、次の世代の教師に伝えようとしてくれました。
私自身は、彼に「恩」と言われるほどのものを授けることができたかどうかは疑問に思っていますが、もし仮に、彼が「恩」だと思ってくれているものがあるとすれば、それを彼は、次の世代に送ってくれています。
「恩」は、私に返すというよりは、次世代に送っていただけると、私も幸せです。
彼は、そのことを見越した上で、今回は、あえて「恩返し」と言ってくれたようです。
思い出してみると、「恩送り」という江戸時代から続くこの言葉を、私の講座で初めて使ったのは、8年前の「H君」だった記憶があります。
その彼が、今回は、わざと私には「恩返し」と言って、私を立ててくれました。
その一方で、12時間の講座では、確実に「恩送り」をしてくれていました。
H先生に、教育の原点を再び教えていただきました。
この12時間の模擬授業の講座で、一番、学ばせてもらったのは、もしかすると私だったのかもしれません。
「H君」、ありがとう!
「H先生」、ご指導、心から感謝申し上げます!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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