夜は、実は、静岡からの来客が予定されていました。
わざわざ静岡から広島に来てくれるので、キャンセルしにくいなあと思っていました。
静岡からの来客とは、2年前の受講生で、現在は、静岡県の高校の日本史の先生として、活躍している人です。
静岡県でも数少ない、現役大学生として、高校日本史の教員採用試験に合格した優秀な若者です。
彼は、私の父が緊急の病状にあるということを知って、会うのを別の機会に延期しても構わないと連絡をくれました。
でも、せっかく静岡から来てくれたのですし、病院は、夜間は看病することもできず、家族は帰らなければいけないので、予定どおり会ってみようかと決心しました。
彼と会い、食事をしながら、旧交を温めました。
彼は、私のスカイプ講座の受講生の時から、極めて優秀で、私は、半分冗談で、「君は、教師になるより、総理大臣になって、日本を救ってくれ。」といつも言っていたほどでした。
面接の受け答えも完璧、模擬授業も完璧、どこをとっても大学生とは思えない優秀ぶりでした。
現場の高校日本史の教師も、彼には敵わないんじゃないかなと思うほどでした。
そんな彼が、矢継ぎ早に、世界史と融合した日本史の授業、地理と融合した日本史の授業といった、これから行っていきたい授業プランをどんどん話してくれます。
教育への夢や志をどんどん話してくれます。
この会話は、教採の面接対策ではありません。本物の教育談義です。
最初は、病院の父のことが気になって、心ここに在らずの状態で話を聞いていた私ですが、すぐに彼の話に引き込まれ、病気の父のことは完全に忘れていました(ごめんなさい、お父さん)。
そんな彼の話の中で、彼が言った言葉が、私の胸に突き刺さりました。
子供は知りたがっている。
子供はもっと知りたがっている。
この言葉は私を大きく揺さぶりました。
私たちは、日頃、最近の子供は、理科離れをしているとか、英語に興味を持つ子が減っているとか、数学が嫌いな子供が多いとか、社会科は暗記科目なので敬遠されるなどというようなことをよく言います。
教師としての視点、大人としての視点なのに、最近の子供は勉強しない、勉強ができないなどと平気で言ってしまいます。
でも、彼の想いは違うのです。
彼は、「子供は知りたがっている」ということを心の底から信じているのです。
そして、それは真実だと私も思います。
私たち、教師、教師志望者、大人も振り返ってみましょう。
理科が嫌いな人もいたでしょう。でも、理科がもっと分かったらいいだろうなあと思ったことはありませんでしたか?
英語が苦手な人もいたでしょう。でも、英語が話せたら、英語が読めたらいいだろうなあと思ったことはありませんでしたか。
数学嫌いな人も、微分積分ができたら面白いんだろうなあと羨んだことはないでしょうか?
社会科が苦手だった人も、世界中を旅して、いろんなことが知りたいなあと思わなかったでしょうか?
そうなんです。
子供だけでなく、私たちは、みんな、いろんなことを知りたがっているのです。
もっともっと知りたいという願いと欲求があるのです。
そして、彼は続けます。
子供は知りたがっています。だから、そんな子供にものを知る機会、考える機会を与えられない教師にはなりたくないんです。知りたがっている子供がそこにいるのだから、自分はその知りたがっている子供の心に全力で応えたい。
彼の視点はどうやって子供に日本史を教えようかではありませんでした。
彼の視点は、子供たちは日本史の内容をどこかでおぼろげなからでも知りたがっている、その本来的な「知りたがっている」という気持ちを受け止めて、授業に高めていかなければならない、というところにあります。
彼は、こんな感じで、3時間、4時間と語り続けます。
どんな本を読むよりも、どんな研究授業に出るよりも、彼との数時間の会話の方が、刺激になります。
2年前、スカイプ講座の受講生だった時も、その片鱗を見せていた彼ですが、いまや、現場の若手教師として、静岡県の高校日本史を引っ張っていける人材に育っていました。
今年度の私の受講生にも、高校日本史の教師を目指している人が何人かいます。中学校社会の教師を目指している人もかなりいます。
面接や模擬授業で、本物の志を語り、本物の理念を語り、子供の「知りたがっている」を刺激する授業をしたいのなら、彼に会って、数時間、話してみることをお奨めします。
どの対策本より、どの教採対策講座より、彼の話は、ストンと落ちてきます。そして、志や理念が湧いてきます。
高校日本史や中学校社会科の教師を志望する方々、こんな人を周囲で見つけてみてください。
そして、その人とゆっくりと話してみてください。
教採合格を勝ち取り、優れた教師になるための志と理念が確かなものになりますよ!!
私も大いに学ばせてもらいました。
子供は知りたがっている。
子供はもっと知りたがっている。
この言葉を胸に刻んでおきたいと思います。
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
コメントはまだありません