合格者の条件 ― ロゴス・パトス・エトス ー エトスで語る!!

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教員採用試験にはどんな人が合格するのでしょうか?

たくさん勉強した人?

問題を何千問も解いた人?

話し方が上手い人?

スポーツやボランティアの実績がある人?

大学の成績が良い人?

確かに、上に上げたような要素も教採合格へのプラスにはなるでしょう。でも、上の5つが全て当てはまったからといって、必ず合格するとは限らないのが教員採用試験です。

私の過去10年間で指導した教採対策講座から教採に合格した人は、400人くらいはいるでしょうか。その400人くらいの合格者のことを頭の中で思い起こしてみました。

どんな人が合格しているのでしょうか。

どうやら、次の5つの要素を持っているようです。

1. 明るく、元気で、爽やか。

2. 勉強法のコツを学んで、それを実践。

3. 教育(教師になること)に情熱と夢を持っている。

4. 情熱と夢を周囲によく語る。

5. 周囲(友人・知人・家族)から一目置かれている。

1の「明るく、元気で、爽やか」は圧倒的ですね。合格者は、本当にポジティブ・シンキングです。こういう人は、一緒にいるだけで楽しいんですよね。周りにいる人を幸せにできる人は、教採合格者の大きな特徴です。

2の、「勉強法のコツを学んで、それを実践」というのも、合格者の特徴です。教採に合格する人は、たくさん勉強する人と言うよりは、勉強のコツ、戦略的な勉強法を知っているのです。要は、効率的に効果的に、しかも、楽しみながら勉強ができる人が、合格するんですよね。きっとこれは、将来、教師になって、子どもたちに、学習法を教えることができるという意味でも、教師向きなのかもしれませんね。

3の「教育(教師になること)に情熱と夢を持っている」というのは、当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、やはり、合格者の大きな特徴です。狂信なることに熱い情熱や大きな夢を持っている人は、教採に合格するんですよね。ただ単に「教師になりたい」ではなく、「教師になって~~がやりたい!」という強い想いがある人が、圧倒的に教採に合格します。こういう合格者にとっては、教採に合格して教師になるのは、あくまでもスタート地点に立つことです。そこから、やりたいこと、達成したいことがたくさんあるのです。

4の「情熱と夢を周囲によく語る」というのも、教採に合格する人の「習性」ですね。教採合格者の多くは、自分の熱い想いや、教育に関する夢を周囲の人に話します。確固とした想いがあるから、話せるんですよね。こう言う人は、教育への情熱や夢をきちんとした言葉にできます。教採用の「作文」ではないから、いくらでも話せます。いくらでも話したがります。だから、ますます、想いが強くなるんですよね。

そして、最も重要かつ顕著なのが、5の「周囲(友人・知人・家族)から一目置かれている」です。合格者の圧倒的な割合の人がこの特徴を持っています。「あいつはすごい人だ。」、「あいつは熱いやつだ。」、「あいつは頭が切れる。」、「あいつにはかなわない。」、「あいつには後輩がついていく。」とにかく、周囲の人に一目置かれているのです。これこそ、リーダーの条件、カリスマ性です。

このカリスマ性について、ちょっと、古代ギリシャのレトリック論的に、解説してみましょう。

古代ギリシャのレトリック論では、ロゴス、パトス、エトスという3種類の説得法が分類されていました。

簡単に説明すると、

ロゴスとは、理屈(ロジック)による説得です。

パトスとは、感情(エモーション)による説得です。

エトスとは、人格(キャラクター・人となり)による説得です。

具体的な例をあげてみますね。

友人に1万円のお金を借りるとします。

ロゴスによる説得なら、例えば、

「次の条件で1万円貸してほしい。期間は3週間後の次の給料日まで。利息は500円。必ず返すという証に、この腕時計を担保として預けておく。」

のようになるでしょう。理屈で説得していますよね。借用期間、給料が入ったら返すという返済能力の説明、利息という相手へのインセンティブ。そして、担保まで差し出す。まさしく、ロジックによる説得です。

パトスによる説得なら、例えば、

「今、付き合っている彼女の誕生日が三日後で、そして、その誕生日が、付き合い始めてからちょうど1周年の記念日でもあるんだ。彼女には、1周年の記念日には素敵なディナーを食べようねと前から約束していたんだ。彼女も凄く楽しみにしているんだけど、1万円ほど予算が足りないんだ。なんとか貸してもらえないかなあ。」

のようになります。誕生日&1周年記念日で、恋人も楽しみにしているディナーということで、感情的には助けてあげたい、1万円なら貸してあげたいと思う人も多いのではないでしょうか。

一方、エトスによる説得なら、次のようになります。

「すまない。本当に申し訳ないが、1万円貸してくれないか。」

これで、もし、相手が、「わかった。」と1万円を貸してくれれば、あなたにはエトスがあるということになります。この言葉だけで、お金を貸してくれると言うことは、つまり、相手は、次のように思っているという証です。

「こいつは、やたらに金を貸してくれというような人間ではない。また、いつも金に困っているという人間でもない。それでも、『本当に申し訳ないが』とまで言って、お金を借りに来たということは、何か重要な訳でもあるのだろう。また、その訳を言わないということは、なかなか人には言えない事情なのだろう。詳しいことを聞くまでもなく、1万円なら貸してやろう。」

つまり、エトスによる説得とは、理屈や感情に頼るのではなく、話し手の人格・人徳による説得なのです。

言い換えるならば、

ロゴスによる説得とは、「話の内容に納得したから、そうしてやろう。」です。

パトスによる説得とは、「話の内容に同情したから、そうしてやろう。」です。

エトスによる説得とは、「お前が言うのなら、それを信じて、そうしてやろう。」なのです。

純粋なロゴスによる説得は、話し手に依存しません。理屈が通っているかどうかだけです。

純粋なパトスによる説得も、話し手に依存しません。同情に値するストーリーがあるかどうかです。

でも、エトスによる説得は、話し手のみに依存します。話し手が信頼に値する人物で
あるかどうかが全てなのです。

振り返って教員採用試験の個人面接を考えてみます。

ロゴスによる面接の語りとは、大学の成績、自分の実績(スポーツで全国大会優勝など)、資格のレベルの高さ(英検1級、TOEIC 990点など)といったデータを示しての語りが主流です。

パトスによる面接の語りとは、苦難の克服、病気からの克服、悲劇からの立ち直り、家族を失って学んだことといった、相手の同情や共感を勝ち取る語りが主流です。

教採の面接で、エトスによる語りができると合格は、まず間違いないはずです。「こいつが言うんだから、間違いはない。」、「こいつがそう言うのなら、それはその通りだ。」のレベルで、話を聞いてもらえれば、もう最初から合格は決まっているようなものです。

そして、合格者の多くは、このエトスによる語りを、上手く組み込んで面接に臨んでいます。

では、エトスによる語りは、どのようにすれば、可能なのか?

その答えは、自己アピールと志望動機にあります。

自己アピール文と志望動機文は、エトスを確立するための最大の方法です。

このあたりの具体的な戦略と方法は、また、次の機会にお話しするとしましょう。

では、また明日!!

広島教採塾
河野正夫

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