【川上貴裕】保健体育教師志望者の皆さんの合格のために、敢えて厳しいことを申し上げます!
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: 不合格の理由, 教育論
【レトリカ教採学院】ブログDE教採
【レトリカ・ブログ】
レトリカ教採学院(教採塾)の川上です。
先月より、保健体育教師のための面接満点講座も、新たにスタートしました。
同じ教科の受講生が集まるので、情報交換や、多様な意見、志望動機などを聞くことができ、非常に有意義な講座となっています。
保健体育科は、志望者が多く、今現在でも、狭き門ですよね。
そして、語りやパフォーマンスにおいても、みんながみんな、保健体育教師らしさが出ていますし、みんな元気で、明るく、ハツラツとしているので、その要素を売り込もうとしても、極端な優劣は、つけられません。
あくまでも、保健体育教師として、フラットな部分、当然のベースとなる部分だからです。
さらに、保健体育科以外の出身の面接官からの、「結局は部活がやりたいだけじゃないの?」、「自分の専門を教えたいだけじゃないの?」、「プロや社会人になれなかったから、教師を目指したんじゃないの?」という疑問にも、応えなければなりません。
特に、面接官が上記のように感じてしまうのは、結局、多くの保健体育教師志望者が、ご自身のスポーツの経験や、部活での経験、顧問の経験ばかりを、志望動機や自己アピールで語ってしまうことにあります。
自分の専門競技を教えたい!、それは確かに、できるのであれば、良いと思います。
しかし、面接官からすれば、「『働き方改革で、外部コーチが指導を』と、言われている時代に、逆行しているな。」と感じられる要素でもありますし、「そんなに専門教科を教えたいなら、大学やサークル、放課後児童クラブなどで教えたらいいんじゃないの?なんで教師なの?」といった疑問しか、出てこないのです。
ここで、保健体育教師志望者の皆さんの合格のために、敢えて厳しいことを申し上げます。
残念ながら、ほとんどの保健体育教師志望者は、修士・博士をもっていませんので、大学で教鞭できるレベルではないのでしょう。
本気で専門競技を究めてきた人は、プロになったり、社会人チームに入っていたことでしょう。
したがって、「結局は、中途半端なんだよね。」と、面接官に感じられてしまいがちなのです。
中途半端だと感じられないようにするためには、あるいは、純粋に、子供に運動や健康についての指導がしたい!という場合、以下の3つをクリアしていく必要があります。
①「結局は、安定を求めつつ、自分の好きなことだけを教えたいから、教師を目指したのではないですか?」と問われたとして、自信を持って、教育への熱い想いを語ることができる。
②「体育ばかりじゃなくて、保健分野も大切な要素だけど、医療、保険制度、衛生分野などを、統計・データ、現状を、正確に語ることができますか?」と問われて、すぐさま語ることができるような教養や、医学的見地や技能を明確にもっている。
③「部活動であれば、専門以外の部活、あるいは、茶道部、パソコン部などの、文化系の部活の顧問を任されることもありますが、それでも大丈夫ですか?」と問われて、迷いなく「大丈夫です!」と、返答することができる。
中でも、私個人の想いとしては、②の要素は、重要だと考えます。
保健体育教師志望者の語りが、誰が語っても同じように聞こえる所以として、②が挙げられます。
みんな、体育部門のことしか、語らないのですよね。
例えば、体育専門の大学であれば、概ね,全体の教授の1/4くらいは、医学博士です。
体育・保健で分けるのであれば、保健部門のエキスパートです。
しかし、残念ながら、保健体育教師の中には、保健部門のエキスパートがいません。
保健部門のエキスパートがいないというのは、授業にしても、せいぜい、教科書の指導書を参考に、板書計画通りに、授業を進めることくらいが限界、という人が、圧倒的に保健体育教師に多いからです。
医療制度や、予防教育などに限っても、教科書以外の知識や、世界の保健情勢を知らない人が、圧倒的に多いからです。
そのようなライバル受験者だらけ、ということを考えてみても、保健部門で、志望動機・自己アピールを語ることができる志望者がいれば、差別化を図ることができるのではないかと考えます。
その意味では、実技が主流の教科で、あえて、【知性の勝負を仕掛ける】ということでもあります。
私や河野が面接官なら、体育部門は当然できる前提として、加えて、保健部門について、熱く語ることができる教師がいれば、採用したくなりますね。
採用する各自治体も、一部は、保健部門のエキスパートを採用するということで、保健部門の枠も設けてもらいたいものですが(笑)
面接官からすれば、朝から晩まで面接をする中で、ほとんどの人が、「運動することの大切さ。」、「体を動かすことの楽しさ。」、「運動ができる喜び」などの、ありきたりの要素を語るので、正直、飽き飽きしています。
体育教師志望者その人にとっては、1回きりの面接でも、面接官は、朝から晩まで、同じようなことを聞かされていますのでね。
他のライバル受験者とは違う視点、切り口が重要になってくるわけです。
ただ、残念なことに、差別化を図ろうとして、保健部門を熱く語ったとして、ここでまた、難しい課題に直面します。
そんなに保健部門について指導したい、あるいは、語りたい、というのであれば、やはり、資格なり、修士・博士なりを持っていなければ、説得力に欠けてしまうという事実です。
体育部門であれば、まだ自分の専門競技だということに加えて、部活動や顧問の経験から、資格が無くとも、説得はしやすいでしょう。(納得するかどうかは、また別問題ですが)
しかし、保健部門であれば、資格を持っている保健体育教師は、ほぼいませんので、なかなか、説得力ある語りができません。
「ちょっと、授業でやっただけでしょう?」、「ネットで仕入れた知識程度でしょう?」と感じられる可能性が大いにあります。
そう感じられる要因として、事実、保健の模擬授業を見ていても、教科書の枠を出ない、典型的な授業しかできない様を、面接官は、毎年見ているからです。
加えて、現状の現場での保健指導が、充足しているか、徹底されているか、という部分でも、疑問をもたれてきます。
体のつくりや、病気、飲酒・喫煙など、小学校から高校までで考えると、3度学んでいくわけです。
しかし、未成年の喫煙や飲酒が0になることはありませんし、このコロナ禍においては、未成年の妊娠の増加も、記憶に新しいですよね。
となると、「なかなかできていない現状があるけど、どう打開できるの?」、「効果あるの?」という疑問も出てきます。
保健部門で語ろうとしても、いばらの道のごとく、難しいのですよね。
さて。
そうなると、面接の語りにおいて合格を勝ち取るためには、内容の構成や、インパクトあるフレーズの勝負になってきます。
簡単に言えば、それらによって、
「こんな授業、中高の時に受けたら、楽しかっただろうな。」
「(喫煙者の面接官なら)タバコも吸わず、もっと健康に留意して生活できただろうな。」
「(面接での話を聞いて)そうそう、そうだよね。長生きするためにも、肥満や病気に気を付けながら、生活していかないとな!」
などの思いを、面接官に持たせることができる内容構成であれば、例え、資格がなくとも、好感・共感・好印象を勝ち取ることができ、疑問もいずこへ、ということで、合格を勝ち取ることができます。
なかなか、難しい部分ではありますが、保健体育教師の皆さんは、上記の③つを再考され、疑問を払しょくできる語りを、ぜひ、考えてみてください。
保健部門で勝負できそうな人がいらっしゃれば、ぜひ、知性での勝負を仕掛けてみてください。
ではまた!
川上貴裕