面接で、事実を言えばいい、正しいことを言えばいい、聞かれたことに対して、ただ単に適切な回答をすればよいと勘違いしていると、不合格が続きますよ!
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: パフォーマンス力向上, 合格への戦略, 教育論, 面接力向上
【レトリカ教採学院】ブログDE教採
【レトリカ・ブログ】
レトリカ教採学院(教採塾)の河野正夫です。
1週間ぶりの河野によるブログ記事です。
今、新しいことを立ち上げようと、いろいろと準備をしているので、そのために、なかなか、ブログ記事やメルマガを書く時間がなく、お休みをいただいていました。
一般社団法人レトリカ教採学院を立ち上げて、様々な企画を考案中なので、皆さん、新企画にご期待ください。
さて、今、東京から、広島までの、新幹線の中で、このブログ記事を書いています。
河野によるブログ記事は、レトリックのパワー、レトリックを教員採用試験の合格のために、どのように活用できるか、そして、レトリックを教育にどのように活用できるかを中心にして、書いていきますね。
今日は、レトリックの中でも、ロゴス、パトス、エトスについて、お話ししましょう。
2,500前の古代ギリシャの時代から、レトリックによる説得方法には、
ロゴス = 理屈・論理による説得
パトス = 感情・情緒による説得
エトス = 話し手の人徳・信頼性による説得
の3種類があることが知られていました。
ロゴスは、理屈・論理による説得ですから、数学やサイエンスなどの証明は、当然、ロゴスによります。
でも、人が人を説得するときには、理屈・論理による説得は、あまり効果がありません。
人は、なかなか理屈・論理では、動いてくれません。
人をロゴスで説得するのは、至難の業です。
例えば、ある人が、
「私は結婚したいと思っている。あなたも結婚したいと思っている。私にはお金がある。お金があればあなたも幸せになれる可能性が高い。だから,私と結婚しよう。」
と言ったとしても、説得される人は少ないでしょう(笑)。
パトスは、非常に、強力な説得のパワーを持ちます。パトスは、聞き手の感情に働きかけます
感情による働きかけは、とても強力で、おそらく9割くらいの確率で、人を動かすことができます。
例えば、教員になる指導動機を、
「私が教師を目指すのは,2年前に亡くなった母との約束を果たすためです。母は小学校教師でした。母は,私が大学で教職課程を取り,私も教師を目指していることを,とても喜んでいました。母は,3年前にガンと診断されました。次第に衰弱していく母を看病しながら,私の教育実習での経験などを話して元気づけていました。2年ほど前,母は,病室で,弱々しい手で,私の手を取って,『お前が教壇に立つ姿は見られそうもないけど,いい教師になって子供たちを育んでほしい』と言って,息を引き取りました。まずは,母とのこの約束を果たしたいと願っています。」
と語れば、面接官は、きっと涙を流しながら、合格させてくれることでしょう。
エトスによる説得とは,話し手の人徳・信頼性による説得です。その人の持つ信頼感による説得です。
私たちは,時に,「あの人が言うのだから,間違いない」,とか,「あの人の助言なら,従おう。」と思うことがありますよね。
これが,エトスによる説得です。
理屈や感情ではなく,その人の人徳・信頼性によって,相手を説得するものです。
語りの素人は、なぜか、ロゴスを追求しようとします。
つまり、正しければいい、事実であればいいと誤解してしまいます。
人が人を説得しようとするとき、正しいことや事実は、あまり大きな説得力を有しません。
それよりも、相手の感情に訴えかける方が、はるかに、説得力があります。
人は情けに弱いものです。
情け・感情には、いろいろな種類があります。
共感・好感・好印象・同情・怒り・悲しみ・後悔・反省・希望・勇気・夢、などなど、こうした感情が、人を突き動かし、説得することができます。
そして、最も、強力なのが、話し手の人徳・信頼性です。
「あなたが言うなら、従おう。」、「信頼するあなたについていきたい。」と思わせれば、もはや、説得という努力も必要ありません。
エトスがある人が語れば、ほぼ自動的に説得は成立します。
教員採用試験の面接で不合格になりやすい人は、ロゴスのオンパレードです。
事実を言えばいい、正しいことを言えばいい、聞かれたことに対して、ただ単に適切な回答をすればよいと勘違いしています。
こういう人は、例えば、私が、「それでは、面接官は納得しないよ!」と助言すると、ムキになって、「どうしてですか?すべて事実ですよ!すべて、答申に書いてありますよ!」などと反論してきます。
こういう人は、正しいこと、事実を言えば、それでよいと誤解しています。
そして、こういう人は、概ね、恋愛も下手です(笑)。
いつも、理屈や正論をこね回しているので、あまり、恋人もできません(笑)。
ふざけているようですが、本当です。
面接が上手い人は、恋愛も上手です。
面接が下手な人は、恋愛も下手で、恋人もいない人が圧倒的大多数なのです(笑)。
人は、事実で動くのではなく、人は、正論で動くのでもありません。
人は、印象や、感情や、雰囲気で動きます。
面接官も、まったく同様です。
正しいことを言う受験者が合格するのではありません。
面接官に好かれる、気に入ってもらえる受験者が合格するのです。
そして、もっとも強いのが、人徳・信頼度の高い人です。
オーラがあるというか、好印象・好感度の塊というか、その人といるだけで楽しくなり、その人と話しているだけで勉強になる、そういう雰囲気を醸し出している人は、教員採用試験の面接でも、百発百中で合格します。
ここで、もう一度、誤解のないようにするために言っておきますと、その人と話しているだけで勉強になる雰囲気というのは、その人が、正しいこと、適切なことばかりを言っているということではなく、その人といると学びたくなる、その人といるともっと知りたくなる、教わりたくなるという雰囲気のことです、
この違いがわからないと、ロゴスだけの語りとなって、失敗してしまいます。
話をまとめると、
人を説得するためには、
最も強力なのが、エトス。
次にパワーがあるのが、パトス。
もっとも説得力がないのが、ロゴスとなります。
教員採用試験で合格するには、まずは、エトスを確立し、パトスを上手に活用し、さらっとロゴスに載せるということが、重要になってきます。
このあたりの語りの妙技については、次回のブログで、解説しますね。
では、また明日!!
河野正夫