教採合格のための,コミュニケーション指導としての面接指導の在り方について。

パフォーマンス力向上

【教員採用試験のレトリカル戦略】

 

日本人の多くは,しばしば,「相手の気持ちを考えなさい。」とか,「相手の立場に立って考えなさい。」ということを言います。

もちろん,これらは,適切なことであり,人間として,重要なことです。

こんな大切なことをいつも言っているのに,教員採用試験の面接では,日本人である受験者は,まったく,このことを考えません。

受験者だけでなく,面接指導も,全然,このことを考えないのです。

 

なぜ,このような語り出しにしたかと言いますと,今日は,

 

コミュニケーション指導としての面接指導の在り方について

 

お話をしたいからなのです。

 

教員採用試験の面接では,

 

受験者と面接官(複数)

 

が対面して,対話をします。

 

当然,受験者の語りの相手(聞き手)は,面接官です。

 

 

面接官は,学校の管理職(校長・教頭)や,教育委員会の管理職,そして,自治体によっては民間人面接官(企業経営者や弁護士,医師等)です。

 

この面接官の好感・共感・好印象を勝ち取るためには,最初に出てきた,「相手の気持ちを考えなさい。」とか,「相手の立場に立って考えなさい。」という視点に立つ必要があります。

 

では,相手,つまりは,面接官の気持ちに立って,考えてみましょう。

 

はい。あなたは,ある小学校の校長先生です。

年齢は55歳としましょう。

 

本当に,心の中で,55歳の校長先生になりきってみてください。

 

なりきったら,次の,A受験者とB受験者の面接での語りを聞いてみてください。

 

この語りは,面接官としてのあなたが聞いた「なぜ,故郷でもない,住んだこともない,この県を志望しているのですか?」に対する回答です。

 

A受験者:

「はい。私は,この県の主体的な学びに関する施策に感銘を受けたからです。一方的な知識の伝授ではなく,子供が自分から考え,自分の考えを発表できる授業を推進しているこの県で教師になりたいと思いました。また,この県では,研修が充実していて,しっかりと学ばせていただけると感じました。そういった研修にも魅力を感じて,さらに,この県で働きたくなりました。また,さらに,この県は,豊かな自然に恵まれ,自然とともに,子供たちを育んでいけると考えたからです。この県の自然は,自然体験活動に最適だと思いました。」

 

B受験者:

「はい。この県は,私の第2の故郷,これから一生住む場所となるからです。実は,この県出身の人と結婚することになり,結婚後は,この県に住むことにしました。この県は,私の第2の故郷になります。きっと私は,この県で,自分の子供を育てることにもなるでしょう。この県に住むと決めてから,結婚相手とともに,この県のあちこちを訪れてみました。これから一生住む場所になるのだという感慨がわいてきました。この県に住むからには,この県に一生涯,貢献したいと思い,この県で教壇に立ち,子供たちを育んていきたいと願っています。」

 

さて,あなたは,面接官として,どちらの回答を信じるでしょうか?

面接官としては,故郷でもない,住んだ場所でもない県を受けるというのは,「複数受験」,つまりは,「すべり止め」と考えますよね。

「すべり止め」であれば,この受験者が本命の県に合格したら,赴任してくれないことになります。

この県で合格させても,来てくれないということになれば,それは,採用政策上,失点ともなります。面接官としては,避けたい失点です。

 

最初の回答は,どうでしょうか?

 

「主体的な学びに関する施策に感銘」とありますが,現在,日本では,新学習指導要領で,主体的・対話的で深い学びが推し進められています。

日本のすべての自治体で,当然ながら,主体的・対話的で深い学びは実践されなければいけません。

この県の特色でもなんでもありません。

全国で普通に行われるべきものです。

「研修」はどうでしょうか?

日本の自治体(教育委員会)で,研修を行っていないところがあるでしょうか?

あるわけがありません。

どの教育委員会も,それなりの工夫を凝らして,独自の研修を行っています。

本当に,各地の教育委員会の研修を比較研究して,A受験者が語っているとは,到底,思えません。

「自然」に関しても,北海道とか沖縄とか,日本人が驚くような自然を売りにしている自治体ならともかく,通常,どの自治体(都道府県)にも,美しい自然はあります。

そもそも,豊かな自然がまったくない自治体など,日本にはありません。

これも,A受験者が,日本中の自然を,「植生」等を徹底的に研究して,語っているとは,到底,思えませんよね。

つまりは,A受験者は,どの自治体でも普通に言えることを,ことさらこじつけて,志望動機という受験作文にでっち上げています。

あなたは,面接官として,A受験者の言葉を信じることができますか?

あなたは,面接官として,A受験者が,本当に,この県で教師になりたいと思っていると信じることができますか?

 

では,B受験者の語りを聞いてみましょう。

B受験者は,この県出身の人と結婚して,この県に住むことにしているから,この県が「第2の故郷」になると言っていますね。

自然な流れではないでしょうか?

もちろん,この受験者が真っ赤なウソを言っている可能性もあるにはありますが,そこまで疑えば,全ての受験者の全ての言葉がウソかもしれないと疑い始めなければいけません。

面接での語りに,すべて証拠を付けて,話すわけではありませんから。

結婚するから,これから一生涯,この県に住むと言われたら,この県の面接官としたら,「なるほど。これから,ずっとこの県に住んでくれるんだな!」と思いますよね。

そして,この県の県民になるのだから,この県に貢献したいというのも,この県の面接官としたら,なるほど!と受け入れられますよね。

確かに,B受験者の回答は,プライベートなことかもしれません。

でも,プライベートなことでも,B受験者が,この県を大切に思っている,この県に住み続ける決心をしている,この県から逃げ出さない,この県に貢献したい理由があるということを,この県の面接官として,普通に感じることができます。

 

そして,A受験者とB受験者の語りには,圧倒的な違いがあります。

それは,A受験者の語りは,誰にでも言えるということです。

誰でも,この語りの原稿を暗記して,語ることができます。

学生でも,講師でも,若い人でも,年配の人でも,未婚の人でも,既婚の人でも,誰でも言えるのです。

誰でも言える,全く価値のない語りです。

 

でも,B受験者の語りは,B受験者でなければ言えません。

まったく同じ境遇の(この県の人と結婚することになっている)人なら言えるかもしれませんせんが,それでも,ごくごくわずかです。

つまり,B受験者の語りは,B受験者だから言える,ユニークで,インパクトのある語りです。

真っ赤なウソを言う場合でなければ,他の受験者には,絶対に言えないのです。

 

面接官として,あなたは,どちらの言葉を信じますか?

面接官として,あなたは,どちらの受験者に,この県で教師になってほしいと思いますか?

面接官として,あなたは,どちらの受験者に好感を抱きますか?

 

簡単なことなのです。

この県の面接官の気持ちになってみれば,どちらが好まれるかは一目瞭然なのです。

 

でも,教採の面接の練習をするときには,受験者も面接指導者も,

 

その県の教育施策に触れるべきだ,

その県の政策(研修等)に触れるべきだ,

その県の特徴(自然・歴史等)に触れるべきだ,

 

などと言います。

 

愚かなことです。

こんなことは,誰にでもできます。

学生でも,講師でも,民間企業で働いている人でも,若い人でも,年配の人でも,誰でも言えることです。

 

そして,もっと愚かなことに,こういう誰にでも言える,面接官からは,まず信じてもらえないようなことを,受講生をたくさん集めて,多様なバックグラウンドを持つ,多様な受講生に,一斉指導する受験産業が存在します。

受験産業と言うよりは,もう,「不合格産業」です。

 

日本人の美徳でもある,「相手の気持ちを考えなさい。」とか,「相手の立場に立って考えなさい。」ということを完全に無視しているのです。

 

コミュニケーション理論が指し示すところは違います。

レトリックの最大の,そして,唯一の目的は,メッセージで相手の心を動かし,自分の望む方向に動いてもらうことです。

相手を説得できない語りは,レトリックではありませんし,語るだけムダです。

 

今日は,

 

コミュニケーション指導としての面接指導の在り方について

 

に語ります。

 

コミュニケーション指導としての面接指導とは,面接官の心を動かす語りです。

 

誤解しないでくださいね。

受験産業にいる,「面接官経験者」の心を動かす語りではありません。

教採の面接の本番にいる「面接官」の心を動かす語りです。

 

「面接官経験者」と「面接官」のメンタリティは,全く違います。

「面接官経験者」と「面接官」の語りの受け止め方は,全く違います。

 

読者の皆さん,常に考えてください。

 

あなたが面接官だったら,どう感じるかを。

 

もう一つ重要なことがあります。

 

あなたが面接を受けるのは,1回(自治体によっては2回)だけです。

でも,面接官は,1日に少なくとも10人以上の面接をしています。

自治体によっては,それが何日も続きます。

一人の面接官は,何十人もの受験者を面接する計算になります。

 

面接官が,「また,その回答なの。。。」,「みんな,その回答ばかり,答えるんだね。」,「他には回答はないの?」と思ってしまったら,アウトなんですよ。

 

コミュニケーション指導としての面接指導がなされていないと,語りは,必ず空中分解します。

 

もちろん,それでも合格する人はいますよ。

語りだけで合格するというよりも,それでも合格する人は,もともと合格する資質や能力を持っている人です。

 

コミュニケーション指導としての面接指導をしなくても,もともと合格しそうな人は合格するのです。

もっと言えば,面接指導などしなくても,もともと合格しそうな人のほとんどは合格します。

なぜなら,そういう人は,圧倒的な魅力と適性と資質を持っているからです。

 

もし,あなたが,そういう圧倒的な魅力と適性と資質を持っていれば,面接の準備をしてもしなくても,あるいは,誰から面接を指導してもらっても,ほぼ必ず合格します。

 

でも,もし,あなたに,そんなに魅力と適性と資質がなく,今,現在,合格しそうにないのであれば,コミュニケーション指導としての面接指導を受けて,戦略的に準備することが,合格への唯一の道です。

 

コミュニケーション指導としての面接指導は,ゲームチェンジャー,つまりは,一発大逆転の秘策です。

 

2次試験(3次試験)を控えた,今こそ,ゲームチェンジャーが必要な方は,是非,コミュニケーション指導としての面接指導で,一発大逆転を狙ってくださいね!

 

 

では,また明日!!

 

 

教採塾

河野正夫

 

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