自己アピールや志望動機は、Whatではなく、Whyの視点で書け!
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: 合格への戦略, 面接力向上
【教員採用試験のバイブル】
今日は,「自己アピールや志望動機は、Whatではなく、Whyの視点で書け!」と題して、お話しますね。
願書やエントリーシートは「アンケート」ではありません。
採用側は受験者の性格や好みの統計をとっているのではありません。
採用側はあなたが魅力ある人物かどうかを探ろうとしているのです。
ですから、願書やESは単なる事実を書くところではありません。
事実を書きながらも自分を売り込むのです。
でも、多くの人は願書やESの質問項目や記入項目を見て、それに対する事実だけをデータとして淡々と書きます。
そして、そんな人は魅力のない人として不合格に近付きます。
もちろん、氏名や住所、生年月日は事実だけを書く以外にはありません(微笑)。
自己アピールや志望動機はそうではありません。
例えば、志望動機です。
志望動機は「志望の動機」ですから、辞書的には「教師を志望したきっかけ」ということになります。
でも、事実としての「きっかけ」には採用側は興味はありません。
事実としてのきっかけは、あなたの単なる思い出話に過ぎないからです。
それでは、つまらない志望動機になります。
教師への志望動機で最も多いのが「素敵な恩師がいた」というストーリーです。
確かに、あなたが小学校や中学校の時に出遭った素敵な恩師があなたが教師を目指すことになったきっかけだったかもしれません。
でも、そんな思い出話はあなたの資質や魅力を売り込むことには役に立ちません。
採用側もあなたがいつ素敵な恩師に巡り会ったのかについては興味がありません。
でも、あなたは次のように思うかもしれません。
「教師志望のきっかけは、恩師だから、正直に答えただけだ。事実は事実だ。」
確かに事実でしょう。
でも、それはWhatの視点なのです。Whatの視点ではダメなのです。
Whatの視点とは、「こんなことがあった。だからこうする」という視点です。
「とても素敵な恩師がいた。自分もそんな恩師のような教師になりたい。」というのは、典型的なWhatの視点です。
なんの面白みもない、単なる事実の描写です。
描写されるのは事実だけで、あなたの魅力ではありません。
趣味を聞かれても同様です。
「旅行です。私は旅が好きで、あちこちに行きます。年に5回は旅行します。」
確かに旅行好きなのは伝わりますが、これも事実の描写です。
典型的なWhatの視点です。
こういう話し方しかできない人は、教採でも就活でも失敗します。
採用側が欲しい人物ではないからです。
では、どうするか。Whyの視点で書くことです。
教採で聞かれている志望動機とは、「教師になることにしたきっかけ」ではなく、「教師になって何がしたいのか。何をするために教師になるのか」を語ることです。
きっかけではなく、志(こころざし)を語るのです。
動機ではなく、大義を語るのです。
「素敵な恩師がいたから」教師になるのではなく、「自分はこんな教育がしたい」、「教師になってこんな貢献がしたい」から教師になるという流れで書く必要があります。
これがWhyの視点です。
「恩師のようになりたい」では、Whyの視点にはなり得ません。
あなたがどんなことをしたいのか、教師として何をしたいのか、どんな学級をつくりたいのか、あなたの教科を教えることで何を成し遂げたいのか、子どもたちに教師として何を伝えたいのかを語るのが志望動機に他なりません。
志望動機とは、Whyを語るのです。
Whatだけを語ってはいけません。
きっかけではなく、志(こころざし)を語るのです。
過去の思い出を語るのではなく、未来のプランを語るのです。
教師になって何をしたいのか、何のために教師になるのか、それが最も重要なWhyなのです。
趣味でもWhyの視点は重要です。
旅行が趣味であっても、Whatばかりを語っていてはダメです。
「食は文化と言われますが、私は食べ歩くために旅行するのが大好きです。」のようなストーリーで旅行を語れば、趣味としての魅力が出てきます。
趣味を語る時も、なぜその趣味が好きなのかが大事です。
WhatよりWhyが重要なのは、ストーリの面白さだけではありません。
教採受験者や就活生のほとんどは若者です。人生経験も少なく仕事の経験も大したものではありません。
そんな人生の初心者がWhatを語っても聞く人の心を動かすことはできません。
Whatでインパクトを取るのは大変なのです。
でも、Whyでならインパクトを取れます。若者の情熱、未来への夢、未熟ながらどうしてもやってみたいことへの執着心、こういったWhyは、聞く人の心を打ちます。
もっとはっきり言うと、全国選手権で優勝したとか、外国語3つくらいでネイティブレベルとか、宝くじで6億円当たったとか(笑)というレベルのWhatでなければ、そう簡単には人を感動させることはできません。Whatで人の心を動かすのは難しいのです。
その点、Whyはちょっと上手く表現するだけで、人の心を大きく動かすことができます。人はWhat(モノやコト)に感動するのではなく、Why(なぜ、なんのために)に感動する生き物だからです。
願書やエントリーシートの原稿を書き上げたら、次の視点で読み直してみてください。
「ここに書いたことには、自分のWhyが詰まっているだろうか?自分のWhyを感じてもらえるだろうか?」
この質問への答えがノーなら、その願書に書いた文章に価値はありません。
教採でも就活でも採用側は、若いあなたの将来の潜在的可能性に期待して採用します。
将来の潜在的可能性が感じられるようなWhyがあるかどうかは、合格・不合格の分かれ目であり、採用側が最も期待して読むところでもあります。
では、次のような質問に心の中で答えてみてください。あなたのWhyは何ですか?
1.なぜ教師になりたいのですか?
2.なぜ小学校・中学校・高校で教えたいのですか?
3.あなたの教科で生徒に何を学んでほしいと思っていますか?
4.あなたという人間のどんなところが教師として輝くと思いますか?
5.あなたが授業で一番やってみたいことはなんですか?
今の5つを完璧に語ることができるようになったら、自己アピールも志望動機もそのたのES項目も、スラスラと効果的に答えることができるようになります。
私が最も評価しないダメダメ願書の典型例をご披露しましょう。
最もダメダメ願書の特徴は以下の通りです。
1.教師への志望動機は、恩師との出遭い。
2.アルバイトで学んだのは、働くことの厳しさと人間関係の大切さ。
3.部活の副部長と学祭の実行委員としてコミュニケーションの大切さを学んだ。
4.教育実習で教えることの難しさを感じた。
今、あげたような内容と書き方しかしていない願書は最低中の最低です。
不合格への片道切符と言ってもいいでしょう。
まあ、こんな文章しか書けない人は、言葉で子どもの心と触れ合う教師には向いていませんから、不合格になるのは、世のため、人のため、子どものためになるのですが。。。(微笑)
願書やESはあなたの第一印象を決めます。
そして、その印象は文字という形で残ります。
いったん提出すると書き直しはできません。
願書は単なる申し込み用紙ではありません。
願書は、教採試験科目の1つの解答用紙だと思ってください。
願書は、一般教養や教職教養の解答用紙と同じくらい重要です。
願書やESは、今述べたような概論や一般論だけを聞いても、優れたものが書けるようにはなりません。
重要なのは戦略的な思考と、戦略的な添削です。
ですから、願書の提出間際になって相談に来る人は追い返します。
到底、間に合わないからです。
自分の一生の仕事を決める文書を書くのに、締め切りの前日に書き始めるような人のお手伝いはしませんし、したくありません。
じっくりと戦略的に、そして、自分の人生をかけて考え、校正していくのです。
願書の執筆・提出時期は、多くの人にとっては教育実習の時期と重なります。
これは大変なことです。
でも、合格する人は、教育実習中であっても願書には真剣に取り組みます。
決して、締め切り間際にちょこちょこっと書くということはしません。
実習中の願書の執筆と添削、上手くやれば合格に近付きます。
無責任な先輩の戯言を信じないでくださいね。
先輩によっては、「願書なんて締め切り当日に書いたよ」とか、「30分で適当に書いたよ」とか言って、「でも合格したよ」なんていう人もいるかもしれませんが、それは戯言です。
ベストシナリオでも、偶然の合格です。信じてはいけません。
教採は、偶然で合格することはあります。
でも、不合格には必ずはっきりとした理由があります。
偶然で合格することを狙っても無理です。
不合格に着実に突き進むことはいたって簡単です。
偶然に頼らず、戦略的に合格へのプロセスをたどっていきましょう。
では,また明日!!
河野正夫