十年以上も前のことですが、私の教え子で、大学生の時に教採に一発合格し、小学校の教師になった人が、教師になって初めての学級通信で、保護者にメッセージを書きました。
そのメッセージは、次のような言葉で始まっていました。
「XXXXと申します。N年M組の担任をさせていただきます。私がN年M組の担任になったのは偶然です。でも、人は偶然を大切にします。私もその一人です。・・・・・」
十年以上前、初めてこの文章を読んだとき、ちょっと衝撃的でした。
担任になったことを「偶然」と言い放ってしまってから、担任としての最初の挨拶や所信の表明をするのかと新鮮に思ったのを今でも覚えています。
これを書いた教え子に、どういう想いで書いたのかを教えてもらいました。
なんと、彼は、教員採用試験の合格発表後、初めての学級通信を書くために、採用日である翌年の4月1日までの半年間、ずっと文章を練っていたのだそうです。
そのために、半年間で、学級経営に関する本などを50冊以上読み、たくさん考えに考えて、彼の教師としてのキャリア最初の学級通信の文章を練り上げたそうです。
その結果として、「私がN年M組の担任になったのは偶然です。でも、人は偶然を大切にします。私もその一人です。」という表現に至ったのだそうです。
私はなるほどね!と思いました。
人生は、確かに偶然の積み重ねでできています。
本当によく考えてみれば、小学校に入学して、どの先生が担任になるかというのも偶然かもしれません。
どんなクラスメートがいて、どんな子と仲良くなり、友達になるかというのも偶然かもしれません。
もっと長い目で見ると、どのように進学し、どのように就職するか、というのも、多分に偶然の積み重なりです。
素敵な人に出逢い、恋に落ちるというのも、偶然の産物であることも多いのでしょう。
確かに、人生は偶然に満ち溢れています。
でも、人は、そんな偶然を大切にしながら生きています。
最初は偶然であったものが、次第に必然に感じられ、そして、運命だと思えるようになることもあります。
教え子が書いた「人は偶然を大切にします。私もその一人です。」という言葉は、そういうことを考えさせてくれました。
話は変わりますが、2日前の土曜日の夜、私は教え子の一人(受講生兼アシスタントでもありました)と食事をする機会がありました。
その教え子は、食事に、ちゃっかりと恋人まで連れてきました(微笑)。
幸せそうなお二人をちょっと豪華なレストランでご馳走してあげました。
私がこの教え子と初めて会ったときのことは、今でもよく覚えています。
数年前のある講座で、前から4番目の真ん中あたりに座っていました。
お洒落なセーターを上手に着こなす、素敵な若者に見えました。
後で聞いて分かったのですが、その位置に座っていたのは、講座中にできるだけ「指名されない」場所だと思って座ったのだそうです(笑)。
講座中にあてられるのが苦手だと感じた彼が、私が主催する教採塾を受講してくれたのも、私にとっては偶然だったのかもしれません。
そして、そんな彼が、講座アシスタントを1年間、引き受けてくれたというのも、嬉しい偶然でした。
彼は、もともとは高校保健体育志望のアスリートでした。
大学卒業後、偶然に、小学校での講師の仕事をオファーされたようです。
何事も挑戦してみる彼は、そのオファーを受けたようです。
小学校で教えてみると、とても楽しく、興味深く、やりがいがあるのだそうです。
小学校の教師にものすごく向いていると感じているとまで言っていました。
実際にも周囲の先生方に高く評価される仕事をしているようです。
これもまた素敵な偶然なのかもしれません。
本当に小学校での教育に魅力とやりがいを感じるということであれば、これは、彼の教師というキャリアにおいて、最も素晴らしい偶然だったのかもしれません。
もしかすると、教員採用試験の面接では、「なぜ、以前は高校保健体育教師志望だったのに、今は小学校教師志望なのですか?」と聞かれるかもしれません。
でも、私はとても安心しています。
彼なら、決して、「小学校でも体育を教えられるから」なんてくださらない答はしないでしょう。
きっと彼は、自分の偶然に感謝し、自分の偶然を大切にし、偶然から見つけた運命を自分の一生の仕事にしたいといった趣旨のことを語るでしょう。
そして、面接官たちは、彼の上品な雰囲気の中に、熱い情熱と闘志を感じることでしょう。
私は、数年前に彼に出逢ったことをかけがえのない偶然だと、心から感謝しています。
土曜日の夜は、仮と彼の恋人さんと私の3人で楽しく食事し、楽しくワインを堪能しました。
とても重要なことを言い忘れていました(微笑)。
彼と彼の恋人さんの出逢いの馴れ初めは、聞き損ねてしまいましたが(笑)、きっとお二人の出会いも最高の偶然だったのでしょう。
最高の偶然が、幸せな運命になったのでしょう。
今日のブログのテーマは、
偶然を大切にする!!
偶然の出逢いを運命に変えることができるのも教育の力ですね!!
でした。
毎日の教育の現場でも、たくさん偶然があります。
その偶然を大切にし、偶然の出逢いを大切にし、それを運命に変えることもできる、というのが、教育の力であり醍醐味ですね。
私も、今日、このブログで触れた二人の教え子に出逢えたことを運命だと思っています。
教員対策講座の主催者をしていて幸せだと思っています。
皆さんも、素敵な偶然にたくさん出逢ってくださいね!!
では、また明日!!
河野正夫
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