この方がおっしゃるには、
「私は、来年の夏、合格する可能性があるでしょうか? 私のようなバックグラウンドでもかなりの確率で合格するでしょうか?」
という疑問に、私に答えてほしいということでした。
私は、
「はっきり言って、分かりません。あなたにお会いしたこともありませんし、あなたの現在の準備状況、学力、人間的魅力も存じ上げません。教採に合格する可能性がないとは言いませんが、それが高いのか、低いのか、この電話で申し上げることはできません。」
と、当然なことを答えます。
すると、相手の人は、
「もちろん、それは分かりますが、でも、私は、どうしても、来年、教採に合格したいのです。合格しなければいけないのです。いまから、頑張れば、何とかなるでしょうか?」
またまた、当然、私は、
「あなたの教採にかける情熱は素晴らしいです。必ず合格したいという意志をもっていらっしゃるのも素晴らしい。今から来年の夏までの期間で、準備ができるかという問いへの答えはイエスです。多くの方もそうしていらっしゃいます。」
すると、その方は、
「じゃあ、私でも、合格するということですね?」
私が、
「そういう風に早合点していただくと困るのですが、合格する可能性はもちろんあります。しかし、バックグラウンドの部分をもう少し教えていただき、あなたの強みを見つけて、教採での競争力を高めないと、高い合格の可能性は期待できません。」
その方は、
「わかりました。でも、合格する可能性はありますよね。」
とてもポジティブ・シンキングの方で素敵なのですが、私に、希望あることを言わせようとされても、私から言えることと言えないことがあります。
確かに、常に「合格する可能性」は、あるのかもしれません。
出願資格を満たせば、願書は出せます。願書を出せば、合格可能性は、幾ばくかはあります。しかし、それが高い可能性なのか、低い可能性なのかは、戦略的な判断です。
戦略的な判断は、情報(データ)がたくさん必要です。
受験者の人となり。
受験者の能力・資質・学力
受験者の人間的魅力
受験者の語りのテクニック
受験者の教育への想い・志・情熱
受験者の経歴・バックグラウンド
受験者の持つ雰囲気
そういったものをすべて考慮に入れて、考える必要があります。
教採に合格するかどうかを決めるのは、
受験者の都合でも、
受験者の単なる頑張り度合でも、
受験者の合格したい度合でも、
ありません。
教採に合格するかどうかを決めるのは、
採用側があなたを選ぶかどうか
なのです。
教員採用試験は、人が人を選ぶ営みです。
受験者(人)が、採用側(人)に選ばれるかどうかが合否の分かれ目です。
確かに、筆記試験では、学力が試されます。
学力も必要です。
でも、最後は、選びたくなる人かどうかで、教採での勝敗は決まります。
ここをはき違えては、いつまでたっても合格は勝ち取れません。
特に、年齢が高い方はなおさらです。
学生さんであれば、いずれも経歴的には似たり寄ったりなので、そんなに神経質になることはありません。
でも、年齢が30代後半から40代くらいになると、なぜ今教師なのか、なぜ転職するのか、なぜその教科なのか、なぜその校種なのか、なぜ今になっての決断なのか、といった、なぜ?なぜ?なぜ?に、戦略的に答えなければいけません。
この戦略的に答えるというのも、たんに上手く切り抜けるとか、適当な回答を準備しておくといったレベルではダメです。聞き手である採用側が、「なるほど、それならよく分かる。」とか、「そういう想いなのか。それは素敵だ。」とか、「こういう人材も欲しいなあ。」と思ってくれるレベルでなければダメです。
とかく年齢が高くなると、教採受験が単なる「転職」になりがちです。それは否定しませんし、そういう「転職」も、私は、大歓迎です。
でも、その「転職」で就く教師という仕事は、子どもたちを育みます。
あなたの「転職」で、子どもたちに何かメリットがあるかどうかを自分に問うてみてください。
あなたが教師になることで、子どもたちには、どんなメリットがあるのでしょうか?
残念ながら、電話の方からは、こういう子どもを育みたいとか、自分はこんな授業をして、こんな教育をしたいとか、そういう話はまったくありませんでした。
自分の経歴なら、こんなことができる、自分の経験があれば、こんな教育ができそうだ、という話もありませんでした。
電話だから、話す機会がなかったのかもしれません。
あるいは、念頭になかったのでしょうか。
私は、いつも次のように願っています。
なりたい人が(どんな経歴でも、どんな年齢でも、どんなきっかけからでも)
なりたい場所で(広島県でも、他の都道府県でも、どの学校種でも)
なりたい時に(新卒でも、講師経験の後でも、民間企業経験の後でも、子育ての後でも)
教師になってほしい。
ただし、それが、未来の子どもたちのためになるのであれば、です。
未来の子どもたちのためになるかどうかは、今すぐには明確には分からないかもしれません。
未来の子どもたちのためになるかどうかは、私が勝手に決めることではありません。
未来の子どもたちのためになるかどうかは、教採を受験しようとしている「あなた」が心で感じるものです
あなたが教採を受験し、合格することが、未来の子どもたちのためになりそうですか?
もし、なりそうと感じるのならば、自信をもって教採に合格してください。
もし、そんなことを考えたこともないのであれば、教師には向いていないかもしれません。
未来の子どもたちのためになりそうだと感じることができる方、
教採にむけて戦略的に準備して、
来年の教採で合格を勝ち取りましょう!!
子どもたちがあなたのことを待っています!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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