教採でもほとんどの都道府県(政令市)の願書や面接カードなどにボランティアについて記入する欄があります。ボランティアは自分が社会のために何ができるかを考える上でも貴重な経験であり、また、現実社会の人々と触れ合う場にもなります。採用側も受験者のそんな経験を知りたいのでしょう。
ただ、「教採のためだけに何かボランティアをしておく」、とか「ボランティアをしておけば教採に有利だろう」といった教採受験のための単なるポイント稼ぎの道具として、ボランティアに取り組むことは、その効果はあまり期待できません。
ボランティアはその字義通り、自らが進んで行うものです。教採の受験に有利だからという理由だけでボランティアをするのは本末転倒でしょう。ボランティアはやったという事実だけに意義があるのではありませんし、教採の願書にボランティア経験の履歴が書けるから価値があるのでもありません。
ボランティアをするときに大切なのは、ボランティアで何を感じたのか、何を見出したのか、その経験からあなたは社会とどう関わっていきたいと感じたのか、あなたができる社会貢献とはどんなものなのかを心の中に刻むことです。そして、それを言葉というカタチで表すことができることです。面接官もボランティアを通してあなたが心に刻んだことをあなたの言葉で聞きたいのです。
ボランティアをするだけで合格に近付くというものではありません。ボランティアをしたことが合格に近付くことがあるとすれば、ボランティアで心に刻んだことを自分の言葉で志を持って語れる時です。ボランティアをすることで、自分がやりたいこと、やりがい、自分の目標を見つけられれば大きな収穫です。
教採の指導をしているとよく次のような質問を受けます。「教採のために何かボランティアをやっていた方がいいですか?」、「どんなボランティアが教採には有利なんですか?」、「1週間くらいのボランティアではダメなんですか?」 などなどです。
私はいつもこう答えます。もちろん、ボランティアをやってみる機会があるのならば、是非、やったらいいし、やるのなら真剣に情熱をもって取り組めばいい。結果として、その熱意や使命感が教採でも評価されることになるけれど、熱意や使命感をでっちあげるためにするというのはノーブル(高貴)ではない。
また、こうも言います。教採に有利なボランティアがあるわけではない。どんなボランティアでも熱意と使命感を持って取り組み、そこで、あなたなりの遣り甲斐や社会貢献への意欲・意識が高まり、それを自分の言葉で語れれば、それは教採でもどんな就職活動でも評価されるでしょう。
どんなボランティアをするかではなく、ボランティアの経験でどんな想いや志や理想や夢を抱くことになったかということが重要なのです。そして、それをどんな言葉で語れるかということが大切なのです。だから、教採用だからといって、特に、教育関係のボランティアを探す必要はまったくありません。
時々、「あんなにボランティアを頑張ってやったのに教採で不合格になった。ボランティアをほとんどやったことのない人が合格している。ボランティアをするなんて無意味だ」なんて言う人もいますが、そもそも考え方がどこか変ですよね。ボランティアしたんだから合格させろというものではないでしょう。
ボランティアは自らが社会と関わり、自らを磨き、自らがなんらかの社会貢献をするために行うものです。その経験の中で、人生観が深まり、社会観が深まり、教育観も深まっていくものです。ボランティアは自らの生きる価値を豊かにするものだと考えると理解しやすくなります。
人生観が深まり、自分磨きができ、自分が社会に貢献していると実感できれば、自らの生きる価値をしっかりと自覚することができるでしょう。自分が生きることが自分のためだけではなく、世のため人のためにもなるということが感じられれば、生きる意味もより深いものになるでしょう。そして、それを自分の言葉で語れれば、素晴らしいことです。
ボランティア経験はそんな心の深みをもたらしてくれる素敵な経験だと思います。だから、あんまり、教採用にとか、教採のためにポイントをかせぐとか考えずに、気楽にとは言いませんが、広い心でボランティアに汗を流せばいいのではと思っています。
だから、結局、ボランティア経験も趣味もアルバイトもサークル活動も同じなのです。自分を磨き、自分を高め、心身を鍛え豊かにするものなのです。教採用のポイントをかせぐために趣味を持つ人も、アルバイトをする人も、部活をする人もいないでしょう。
趣味やアルバイトや部活での経験が自分を豊かにし、そこで鍛えられた心と身体があなたを強くし、教採においても魅力ある人間にするのです。やりたいことを一生懸命にやり、そこで得られる想いや志を大切にする。そして、それを言葉で人に伝える。それが自分を魅力的な人間にし、それが教採でも評価されることになる。
自分磨きというのはそんなものです。なにかのポイントを稼ごうとしてするものではありません。大好きなスポーツに打ち込む。何かの縁で始めたアルバイトを真剣にやる。昔からやってきた趣味を徹底的に極めてみる。そんなところから人間的魅力は生まれてきます。そんな魅力が教採でも評価されるのです。
きょうのお話をまとめるとこうなります。ボランティアをする機会があれば、どうぞやってみてください。打ち込んでみてください。何かを感じとってください。それがあなたの魅力になります。あなたは教採のために生きているのではありません。生きたいように生きてください。それが人間的魅力になります。
結局は、人間的魅力がある人が、教採に合格するのですから!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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