英語教師志望者、いや、日本の英語学習者の多くは、なぜ英語で話す時に、あんなに幼稚なことしか言わないのか？という疑問です。

特に語学力に問題があるわけではないようです。私が指導する人には、TOEICのスコアでも900点以上を取得している人も複数います。でも、英語で話すと、話の内容があまりにも短絡的、あまりにも稚拙なのです。

例えば、英語で「あなたは、文法の役割をどのように捉えていますか？」という質問をしたとします。

もちろん、これは、従来の英語教育における文法中心主義の反省であったり、または、やはり文法の学習は必要だという主張であったり、英語教育でしばしば議論されることを背景にした質問です。英語教師志望者に文法の持つ役割についてどう考えているのかを語って欲しいわけです。

こういうバックグラウンドをもった質問なのに、英語でこの質問をされて、英語で答えるときに、英語教師志望者は、あまりに稚拙な回答をします。

例えば、

I think grammar is important because you need it to write sentences.
（文を書くときに必要なので、文法は重要だと思います。）

とか、

It is not good to study only grammar because it is not interesting.
（文法だけを勉強するのは良くない。なぜなら、それは面白くないから。）

なんて、どうしようもないような英語で答えてくるのです。

文を書くときに文法は必要だなんて、当たり前でしょ。だからなんだって言うの？？

文法は面白くないから、文法だけを勉強すべきではないと言う前に、文法を楽しく教えろよ！と叱りつけたくなってしまいます。

こういった回答は、ただ、頭に思いついたことをそのまま英語にしただけなのです。こんな回答を聞きたくて、質問がされているわけではありません。

母語で話す時も英語で話す時も、あなたの想いや感性が溢れているような語りである必要があります。聞き手が魅力を感じるのはそういう語りです。何も考えず、感じず、思いついたことを稚拙な文で話し始めるということではありません。

先程の質問に対する回答を、例えば、次のように、英語で語ったらどうでしょうか。

Grammar is not an enemy.
I would like to emphasize this strongly.
Grammar can be a great help for communicating in English.
Let me put it this way.
“Mike loves Nancy.” “Nancy loves Mike.”
Only grammar can tell who loves whom.
We cannot even talk about love without knowledge of grammar.

文法は敵ではない。
このことを強調したいと思います。
英語でコミュニケーションをとるときに、文法は大きな助けになり得ます。
次のような例で説明させてください。
「マイクはナンシーを愛している。」と「ナンシーはマイクを愛している。」
文法だけが、誰が誰を愛しているかを区別してくれます。
文法なしには、恋愛についてだって語れないんですよ。

どう思いますか？

文法はすべてではないが、文法を軽視してはいけないという話し手の想いがよく伝わってきませんか。

最初の文の、”Grammar is not an enemy.”が利いていますよね。
そして、”Mike loves Nancy.” “Nancy loves Mike.”の意味の区別は文法なしでは決まらないという例をあげて、” We cannot even talk about love without knowledge of grammar.”とちょっとユーモアのセンスを使ってまとめているのも好感が持てますよね。

この英語の語りには難しい言葉や難しい表現はまったく入っていません。でも、語り手の文法の深い理解と、言語への感性、人間的魅力が伝わってきますよね。

これが言葉のセンスです。

言葉のセンスがない語りは聞くに堪えません。

英語も言語です。語学力だけでなく、言葉のセンスを磨いてください。

そうすれば、英語面接や英会話でもトップレベルで合格できますよ！！

私が英語教師を教えるときは、いつもこういった言葉のセンス、英語のセンスを特訓しています。

私の教え子の語りのセンスは英語でも素敵ですよ！！

では、また明日！！