自己アピールや志望動機を語ったり、教採での面接の演習をやっているとつくづく感じるのです。教師志望者の多くが、「自分の売り=自分のどこをアピールして伝えたいのか」や「自分の強み=自分のどこがライバル受験者と勝負して勝てるのか」について全然分っていない。いや、考えたことすらないのです。
教員採用試験とは、文字通り、教員を採用する試験です。たくさんの受験者(候補者)の中から、誰が教員としてもっともふさわしいかを見る試験なのです。
確かに、筆記試験もありますから、皆さん、いわゆる受験勉強をします。これも必要です。知識と教養がない人は教師にはなれません。でも、ここだけでは、普通の資格試験や大学入試と同じです。教採はただ単に「学力の高い」人だけを探しているのではありません。
教師の資質にはいろいろありますが、まず大事なのが、子どもを惹きつけることができるか、子どもの興味関心を取れるか、子どもと人間関係を築けるかでしょう。もちろん、子どもだけではなく、保護者や同僚といったいろいろな人たちと良い関係をつくることができるかということも大切です。
教師という仕事は、自分という人間的魅力を大きな武器として仕事に当たるわけです。
ですから、当然、採用側(面接官)は、あなたという人間を見ようとします。あなたの人間的魅力を見出そうとします。あなたにどんな人間的な強みがあるのかを知ろうとします。
でも、残念ながら、教師志望者の多くは、学力中心の「受験勉強」ばかりして(誤解しないでくださいよ。これも大事なんですよ。)、「自分の売り」や「自分の強み」をアピールしようとしない。いや、正確に言えば、自分の売りや強みを理解してもいない。
自己分析とか自分研究とかを一応はしているのでしょうが、あまりにも噴飯物レベルでしかやっていない。だから、自分をアピールしてください、と聞かれると、次のようなくだらない抽象論でしか答えられない。
「私の長所は、明るくて元気なところです。」
「私は、コミュニケーションの大切さを知っています。」
こんな語りで、ライバルには絶対に勝てません。私の受講生と勝負したら、一瞬にして負けるでしょう。私の受講生なら、こんなバカなことを言う人は一人もいないはずですから。
長所は、明るくて元気なところなんて、バカなアピールですよね。明るくて元気なところなんて、面接を受けながら、面接官に感じてもらうものです。20分とか30分とか面接という対話をしていたら、あなたが明るいか元気かくらい分かりますよね。感じてもらえればよいことなのです。それをわざわざ、面接で、「私の長所は、明るくて元気なところです。」なんてもう大馬鹿野郎ですね。そんなことを緊張した暗い顔をして小さな声で言って、面接官が「ああそうですか。なるほど!」と納得するわけがないでしょ!!これなんかもう、「バカにつける薬はない。」というレベルのダメダメアピールですね。
「コミュニケーションの大切さ」なんていう抽象表現も誰の心にも響かないということは、これまでのブログでも書きました。でも、本当の問題は、こういうことを言う人は、自分の売りや強みがまったく分っていないということなのです。分っていないから、こんな抽象論でごまかそうとするわけです。
自分の売りや強みも見出せないで、子どもに対して、「みんな違ってみんないいのだから、自分の良さを伸ばしていこうね!」なんてお話をしようとするんですね。自分のやりたいことや自分の夢も見出せないのに、子どもに対して、「夢を持つことが大切だよ。夢に向かって頑張ろうね!」などと言うのです。
「自分のことを棚に上げる」という言葉がありますが、棚に上げ過ぎでしょう!!と叱りつけてやりたくなりますね。
面接力のない人の共通の特徴は、自分のことが分かっていない。自分の売りも強みも何も分っていない、考えていない。そして、将来の夢もなにもない。ただ、目の前の教採という受験に合格したいとしか考えていないのです。
教採も受験ですから、合格したいと思うのは当然です。でも、教採合格は、あくまでも教師になるスタート地点です。もっと言えば、教師になるというのも、自分がやりたい教育をするための手段に過ぎません。あなたの夢を叶えるための一つの通過点が教採合格であり、教師になることです。
目の前のことしか見えていない人は、教採や就活の面接で自滅します。
考えてみてください。「この教採に受かるだけでいいんです!」なんて人を、教採の採用側(面接官)が採用すると思いますか? 採用するわけないでしょ!!
こういう人は、あらゆることを「とりあえず」でやります。
「自己アピールが全然思いつかなかったけれど、とりあえず書いてみました。」
「とりあえず、教育実習の経験で自己アピールをしたいのですか、それでいいですか?」
などと平気で言ってきます。
「とりあえず」でいいわけないでしょ!! 「~~でいいですか?」っていいわけないでしょ。たとえ、私が「いいよ」と言っても、採用側が「いいよ」と言うわけありません。そんな人は、教師には向いていません。
でも、この点で悩んでいる人に、グッドニュースがあります。それは、「自分の売り」や「自分の強み」を発見し、それを言葉にして、アピール力をもって表現するのは、比較的簡単なのです。
それを私は「キャラクター・トレーニング」と呼んでいますが、このキャラクター・トレーニングは、数時間程度でできるのです。そして、アピール力と合格力がある表現ができるようになります。
いわゆる受験勉強の部分(知識と教養という学力)は、数時間や数日ではどうにもなりません。長期間の学習の積み重ねが必要です。でも、キャラクター・トレーニングは、数時間程度でも十分に効果が上がるのです。
でも、このキャラクター・トレーニングを適切に行っている教採対策講座が少ないのは事実ですし、キャラクター・トレーニングを効果的に行える指導者が少ないことも事実です。
この辺りが、教師志望者の自己アピール力や面接力の弱さの原因となっているようですね。
そういった事情はありますが、教採で合格するためには、どうしても、「自分の売り」や「自分の強み」をしっかりと自覚することが必要です。そして、教師になって何をしたいのかを明確に意識することが必要です。
そこのところを「とりあえず」でやっていると必ず失敗します
。
教採の合否の大きな分かれ目の一つがここにあるのです。
皆さん、「自分の売り」や「自分の強み」を見つけて、それを言葉にしていきましょうね!!
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫
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