曖昧な指導言やいい加減な指導言で、模擬授業をしてはいけません!

パフォーマンス力向上

【教員採用試験のバイブル】

 

多くの受講生の皆さんに模擬授業の実演をしてもらって、気づくことがあります。

それは、多くの人の模擬授業中の指導言があまりにも曖昧でいい加減ということです。

これでは、教員採用試験での模擬授業として高評価はもらえませんし、そもそも、実際の授業でも子供たちに伝わる指導言とは言えません。

 

まず、言葉を定義しておきましょう。

「曖昧な指導言」とは、指導言(発問・指示・説明)が、何を問うているのか、何をどうさせようとしているのか、何を説明しているのかがはっきりしないということです。

「いい加減な指導言」とは、指導の意図がはっきりせず、そもそもなぜそのようなことを言わなければいけないのか理解しづらいような指導言のことです。

 

 

具体的な例を挙げてみましょう。

1.「ちょっと」

授業の初心者は、「ちょっと」を多用する傾向があります。

ちょっとこっちを見てください。

ちょっとノートに写してみてください。

ちょっと教科書の35ページを開いてみてください。

ちょっとこっちを向いてください。

こういった「ちょっと」は考え物です。特に小学校低学年では要注意です。

そもそも、これらの場合の「ちょっと」は何を表しているのでしょうか。

「ちょっと見る」とはどう見ることなのか、「ちょっとノートに写す」とどのように移すのか、数秒間だけ見るということなのか、速くノートに写すということなのかが分かりません。

「ちょっと教科書を開く」とは、開いたらすぐに閉じるということなのか、「ちょっとこっちを向く」とはどのくらいの時間、向いていればよいのかさっぱり分かりません。

確かに、日本語の「ちょっと」には口調を弱める働きがあります。上記のような例では、「ちょっと」は、”a little”というよりは、むしろ”please”に近い働きをするとも考えられます。

語学的に分析すれば、そうとも言えますが、やはり指導言としては、紛らわしい表現は慎むべきでしょう。

「ちょっと」を使う必然性がなく、穏やかなトーンは教師の口調や表情で表せますし、他の代替語を用いて、「それでは、こっちを見てください。」、「いまから、ノートに写してみてください。」といった明確な表現が可能です。このような場合に、あえて曖昧な「ちょっと」を使うことは避けなければいけませんね。

 

2.「まあ」

「まあ」の多用も深刻です。

まあ、これがこの問題の答えとなります。

まあ、内閣の権限としては・・・・・

まあ、17は素数ですので、

人によっては、15分の模擬授業なら、「まあ」を20回以上、連発することもあります。

この「まあ」も口調を弱めるという働きがあるのは語学的な事実ですが、指導言の中で使う必然性はありません。

また、「まあ」には、「とりあえず」、「これから言うことに自信は持てないが」、「ためらいはあるのだが」といったニュアンスを伝えますので、指導言としては、かなり不適切だと言えるでしょう。

上記の「ちょっと」とともに、授業者の自信のなさ、知識教養のなさを露呈する表現だとも言えます。

結論としては、模擬授業中は、授業者は、「ちょっと」と「まあ」は、上記のような用例では、使うべきではないということになります。

 

3.これは雑談ですが、
  これはあまり重要なことではないんですが、
  これは別に大したことではありませんが、

授業の初心者に限って、上記のような言い訳的な表現を多用します。

自分がこれから話すことに自信がないのか、本当に授業の本題から脱線してしまっているのか、上記のような不適切な言い方をしてしまいがちです。

なぜ、これらの表現が不適切かと言うと、このような言い方をしてしまえば、そのあとに授業者が話すことは「あまり聞く価値がないんだな」という意識付けをしてしまうからです。

本当に脱線して冗談でも言うのなら、それでもいいのですが、模擬授業の実践を聞いていると、上記のような表現をした後に、かなり重要な、しかも、本時の授業の核心に関わるようなエピソードであったり、例示であったりするのです。

結局は、重要なことを言う前でも、授業者に自信がなく、このような言い訳表現を使ってしまうのですね。

これも、児童生徒の学習意欲や学習意識にマイナスの影響を与えます。

 

授業者の指導言は、本時の授業目標を達成するために意図的に語られる必要があります。

なんとなく指導言を語ってはいけません。

授業の初心者は、本時の授業目標を達成するためのプロセスよりも、自分の自信のなさの吐露の方が優先されてしまいます。無意識の吐露ですが、指導言に形としてはっきりと出てしまいます。

 

まだまだ他にたくさんこういった例はあります。

模擬授業の指導をしていると、こういった指摘をたくさんすることになります。そのくらい、模擬授業の初心者の指導言は曖昧でいい加減です。

指導言の改善だけで、模擬授業での合格可能性は飛躍的に高まります。

 

でも、多くの受験者は、指導案の書き方や、板書の書き方や、めあての書き方などの、目に見える具体的な形があるものに注意が集中してしまい、自分自身の言葉への注意が散漫になってしまいます。

話し方が下手な模擬授業は、必ず不合格に近づきます。

指導言がダメダメな模擬授業は、そもそも授業としては失格です。

 

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、模擬授業の場合は「森を見て木を見ず」なのです。

指導案や授業構成、構造的な板書といった、大きなピクチャーは見ているのですが、一つ一つの指導言がダメダメなのです。森としてみると良さそうな森に見えるけれど、よく見ると一本一本の木が腐っているということです。

健全な一本一本の木々なくして、健全な森は存在しえません。

適切な一つ一つの指導言なくして、優れた模擬授業はできません。

 

どんなに模擬授業をしても、上手くならない人の問題は、教材研究不足や板書の優劣、授業構成の可否だけではありません。最大の問題は、一つ一つの指導言が下手だということなのです。

河野正夫の模擬授業特訓は、こういう点を徹底的に指導しますよ!

 

では、また明日!!

 

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