【川上貴裕】教職教養の問題をサクサク解いていくための5つのポイントとは?
- By: Kyousaijuku
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教採塾の川上です。
先日、小学校全科の勉強方法が知りたいという受講生(一般も含む)のために、小学校教師志望者のための個人レッスン開講をアナウンスしました。
それに伴い、最近は、教職教養の勉強方法についても、よく受講生から尋ねられるようになりました(笑)。
教職教養の勉強は、全くもって難しいことはありません。
教育法規や教育原理では、例えば、「憲法や判例に照らして」というようなものや、「学校教育法第〇条には、~と記載があるが」というようなものが出題されますが、これらの言葉に囚われる必要はありません。
そもそも何千とある判例を、「全て読んだ!」という人は、教員採用試験の受験者の中にはいないでしょうし(笑)、読んでいなくても、十分解けるのです。
というのも、教員採用試験に出題される問題文や選択肢をよくよく見ると、「これ絶対おかしいでしょ!」、「あり得ないでしょ!」というものが、実はたくさん潜んでいるのです。
概ね、問題を解く上で見るべきポイント、コツというのは、以下の5つです。
その5つを、国内でも屈指の難しさと言われる、某自治体の過去問を例に挙げながら紹介していきます。
ポイントとコツが分かれば、「何だ、意外と簡単じゃん!」と、教職教養に対する不安や苦手意識というものは、無くなりますよ!
①そもそも順序が間違っているもの。
問題文に記載されている、条文・文言そのものは間違ってはいないけれども、記載されている順番が違っている場合があります。
過去問例:
「性行不良による出席停止に関して → 出席停止を命ずる場合には、理由及び期間を記載した文書を保護者に交付した後に、保護者の意見を聴取しなければならない。」
という問題文があります。
これは、正しくは、保護者の意見の聴取が先です。
決定事項を文書で保護者に渡した後に、一体何を聴取するというのでしょう(笑)。
違う例で例えるとすれば、裁判官が被告人に判決を言い渡した後で、被告人が陳述をするようなものです。
②枠組み・管轄を超えているもの。
管轄や枠組みとして、多くの受験者が混同しがちなのは、
「設置者」、「任命権者」、「本属長」、「地方公共団体」などの言葉でしょう。
ただ、これらの言葉が何を示しているかを理解し、各々の管轄の権限を学んでおけば解けるものが多いです。
その上で、過去問を例に挙げてみましょう。
「学校を設置する際の設備、編成その他に関する設置基準は、学校の種類に応じ、地方公共団体が定めている。」という問題。
正しくは、「設置基準は、文部科学大臣が定めている。」でした。
次に紹介する、③の常識力にも触れるような内容ですが、そもそも全国の地方公共団体数は1700以上です。
「うちの地区の学校には、グラウンドや図書室は作らなくてもいいよ!」というように、地方公共団体ごとに設置基準が定められていたら大変なことになりますよね(笑)。
続いて、他の過去問例を挙げてみましょう。
「区市町村又は都道府県の設置する小学校、中学校及び高等学校が廃止された際は、文部科学大臣が、当該学校に在学し、またはこれを卒業した者の指導要録を保存しなければならない。」
これも、おかしいですよね!
正しくは、「文部科学大臣ではなく,当該学校を設置していた都道府県または市町村の教育委員会が保存する。」です。
過去10年ほどで廃止になった学校は、全国で約7000校を超えます。(「文部科学省 廃校施設活用状況実態調査の結果について」より。)
直近だけで見ても、全国で毎年、500校前後が廃校となっています。
加えて、指導要録、つまり学籍に関する記録は、20年の保存義務があります。
これらを全て、文部科学大臣が保存するとして、「一体どれだけの大きさの保管庫が必要なのさ!」ということになりますよね(笑)
設置基準は、確かに文部科学大臣が定めていますが、設置基準に基づいて設置しているのは、区市町村や都道府県です。
管轄が区市町村や都道府県であれば、当然、保存するのも管轄内で、ということになりますよね!
③常識力・国語力を問うもの。
過去問例:
「学習障害のある子供は、学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりする傾向がある。文字を正確に書くことが苦手な場合には、教師は、適切な文字を思い出すことができないのか、細かい部分を間違えるのかなど、そのつまずきのパターンを把握した上で、文章や段落ごとの関係を図示したり、重要な箇所に印を付けたりするなどの指導方法を組み合わせる必要がある。」
この文章には、大きな間違いがあります。どこが違うでしょうか。
正解は、「文章や段落ごとの関係を図示したり、重要な箇所に印を付けたりする」ではなく、「漢字の成り立ち等の付加的な情報を指導し、意味づけを行うことや文章や文字をなぞって書くことなどの指導方法を組み合わせる。」となっています。
そもそも学習障害で、文字の認識や正確な記述が難しい子供に、更に大きな範囲・枠である、文章や段落の関係を図示すれば、余計に混乱してしまいます。
常識的に考えて、この指導法は正しくありませんよね。
また、別の過去問例として、「副校長は、校長に事故があるときは、その職務を代決し、校長が欠けたときはその職務を代理して行う。」という問題があります。
国語力があれば、すぐに解ける問題となっています。
正しくは、「副校長は,校長に事故あるときはその職を代理し,校長が欠けたときはその職務を行う。」です。
そもそも、「代理」という言葉は、本人が居る場合や、存命の場合に限ります。
「校長が欠けたとき」=「(辞職・死亡・処分等の事由で)居ないとき」ということなので、「代理」という言葉の意味に当てはまりません。
ちなみに、「代決」という言葉は、他の教職員の職務に関する法律の中の、どこにも出てきません。
上記の2つの過去問からも分かるように、常識力・国語力があれば、簡単に解ける問題も多く存在します。
④他のものを排除・包括するような文言。
「必ず○○しなければならない。」
「いかなる場合においても・・・」
「絶対に○○をすることはできない。」
「全て〇〇することができる。」
「一切認められない。」
問題文の中で、これらの文言が出てきたら、とりあえず疑って見てみましょう。
というのも、制限をかける文言というのは、法律では、ほとんど使用されていません。
これらの文言を使用している条文は、簡単に言うと、全国民が即座に納得するレベル、というくらいのものに限られています。
唯一、こういった文言が何度か出てくるものとして、憲法が挙げられるくらいでしょうか。
「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」
「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」
という条文が、記載されています。
しかし、教員採用試験で扱われる法律において、このような文言が記載された条文は、ほとんどありません。
頻出しているとすれば、上記の制限と意味合いが違いますが、「すべて国民は・・・」から始まるような条文くらいですね(笑)。
⑤統一された表現から、その法律が何かを見極める。
教育法規であれば、憲法、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則など、いろいろ出題されますよね。
問題文に、法律の条文が書かれており、選択肢の中から、その条文が記載されている法律名を答えるものがよく出題されます。
しかし、ポイントさえ分かれば「これは○○の法律だ!」というのが、すぐに分類できます。
例えば、
「公務員」と呼んでいるのは、憲法。
「教員」と呼んでいるのは、教育基本法・学校教育法。
「職員」と呼んでいるのは、地方公務員法。
「教育公務員」と呼んでいるのは、教育公務員特例法。
実は、呼び方一つで、その法律が何か、というのが瞬時に分かるのです。
以上、簡単に5つのポイント・コツを挙げていきました。
上記のポイント・コツを踏まえながら、教職教養を学習して、理解し、記憶すれば、試験本番では、サクサク進めることができますよ!
最近、私も過去5年くらいの全国の過去問をランダムに解いてみましたが、いずれも、設定された試験時間より、遥かに早い時間で解くことができました。
それほど、慣れてしまえばこちらのもので、何の不安も苦手意識も無くなります。
ぜひ上記のポイント・コツを踏まえながら、教職教養に取り組んでみてくださいね!
では、また来週!
川上貴裕