【川上貴裕】授業で勝負しろ!自らブラックに浸かるな!
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: 教育論
教採塾の川上です。
教育界では、しばしば、「教師は授業で勝負!」と謳われることがあります。
しかし、教採の自己アピール文や、面接での質問における「志望動機」や、「教員になってしたい事柄」になると、授業ではなく、子供との関わり方・学級経営・いじめや不登校に対する子への指導など、いわゆる「生徒指導」的な内容を語る受験者・受講生が、非常に多い印象を受けます。
もちろん、生徒指導面も重要な視点ですし、間違ったことは一切ありません。
否定するつもりもありません。
ただ、現場に出たことがない大学生や民間経験者を除くにしても、現場で働いている人たちがこぞって、授業力ではなく、生徒指導を語るのです。
面接官が「君のような人に教師になってもらいたい!」と素直に共感・好感・好印象をもってくれるのも、授業力や、授業での子供の伸ばし方・学ばせ方だと思います。
最も、根本的に私が感じることは、現場に出ているのであれば、教師に必要な資質としても当然ですが、「授業で勝負しろ!」ということです。
ただ、「授業で勝負!」と言っても、なんら難しいことはありません。
基本的に必要なものとしては、次の3つです。
・授業の構成力(組み立て)
・指導力と指導言
・発問の工夫
これらがあれば充分です。
授業内容にしても、教科書ベースで、十分に闘えます。
子供も食いつき、「もっと知りたい!学びたい!」と目を輝かせます。
私も過去に、公開研究で授業を何度かしましたが、その際も、あれこれ装備は付けず、シンプルに教科書だけを武器にして行いました。
最近の教科書は、本当に、本当に、よく考えて作られています。
(教科書と指導書を読み込み、理解した人であれば、この意味がよく分かるはずです。)
教科書と指導書ベースの授業でも、先ほどの3つの素養があれば、十分に子供たちの意欲、発想力、考察力、表現力、応用力を引き出せます。
最近、つくづく感じることは、
授業力がある人は、あるいは、授業に本気で取り組んでいる人は、
「子供たちの些細な変化も見逃さず・・・」
「子供たちの生きづらさや困り感を・・・」
「粘り強く指導することで子供たちの自己肯定感を・・・」
と言った、インフレ状態の言葉で、生徒指導面のことばかりを語ることはない、ということです。
(ここで言うインフレとは、面接官からすれば、「理解はできるけど、それを聞いて、私たちがあなたを採用する理由になると思いますか?」、「それを聞いて、あなたが面接官なら、『あなたを採用したい!!』と思いますか?」と思われる内容や、多くの受験者が用いる言葉で、面接官は、「またか!」と飽き飽きしているものを言う。)
授業力がある人は、授業での工夫や、その授業・単元で、子供たちがどのように成長するか、ということを次から次へと語ります。
面接での語りでも、圧倒的に引き出しが違います。
この引き出しの差は、面接官にもすぐに見抜かれますよ。
授業力関連で、もう一つ。
最近のインターネットの世界では、家庭学習、放課後指導、サイクル学習など、授業以外での指導に力を入れたものが多く共有され、溢れています。
もちろん、この指導によって、成長している子供がいるのも事実でしょうが、「初歩的なことを忘れているのでは?」と感じることがしばしばあります。
それは、「教材研究」です。
授業をきちんと研究し、取り組めば、そういった余計な部分で時間を取ることもありません。
上記のような授業以外の指導では、プリントを毎日作ったり(作る→管理職に提出→判を貰うのに時間がかかる→ようやく返却されたと思ったら赤ペンで修正が入る→再提出→GOサインが出る→やっと印刷、の繰り返し)、サイクルの確立に時間がかかったり、本来なら空いている時間で指導したりと、大変な労力が削られます。
ただでさえ、教育界では、ブラック化が叫ばれています。
弊社の河野とも、以下のことは共通認識で、よく話しているのですが、
「そういった授業以外の時間に労力を削っておきながら、ブラックと言っている人が多い。」
ということです。
教材研究をしっかりと行う人は、授業内で勝負しています。
授業が楽しいと、子供たちの学びへの意欲は、自然と醸成されます。
そうなれば、サイクル学習を確率したり、プリントを毎日作らずとも、子供たちは、自主学習ノートに毎日のように、学んだこと、復習したこと、予習したことを書いてきます。
中には、「へぇ!そんなことがあるんだ!」と、逆に教師の学びになることもあれば、5ページ以上、熱心に書いてくる子も出てきます。
私が受け持っていたクラスでは、1か月4、5冊以上のペースで自主学習ノートを作る子が何人もいました。
また、
土日休みの午前中は自主学習ノートを作り、午後はシッカリ遊ぶ。
大休憩(放課・中休み)はシッカリ遊んで、昼休憩は図書室で自主学習ノートを作る。
といった子供さえ出てくるほどでした。
子供たちの
「なぜ?」
「どうして?」
「知りたい!」
というような、いわゆる、主体的な学び、深い学びのきっかけ・鍵は、授業です。
以上から、私が声を大にして言いたいのは、
「授業で勝負しろ!」
「自らブラックに浸かるな!」
「授業以外での指導(力)にすがるな!」
「教材研究無くして、教師の本質なし!子供の意欲なし!信頼なし!」
です。
今日は、いつも以上に熱く、厳しくなりましたね!
しかし、私が教員をしていた頃からの、揺らぐことのない軸であり、想いです。
教師としての、最たる原点、「授業力」を伸ばし、磨き、優れた教師を目指しましょう!
では、また来週!
川上貴裕