Missionとは、ひとつひとつクリアしていくべき課題です。
- By: Kyousaijuku
- カテゴリー: 教採塾の新企画
皆さんは、オンラインゲームやビデオゲームをしたことが一度くらいはおありだと思います。
お好きな方は、かなりハマった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は、現在まで、オンラインゲームやビデオゲームにはほとんど興味はありませんでした。
ところが、先日、休養していた時に、暇に任せて、戦略系のオンラインゲームに初めて挑戦してみました。
3週間程度、楽しんでみたのですが、その中で、私はものすごく重要なことを発見しました。
それは、こういう戦略系、あるいは、シミュレーション系のゲームでは、ひとつひとつのミッションをクリアしていくことがなによりも重要だということです。
例えば、あるゲームでは、城を建設しようとすれば、材木も、鉄も、労働者も必要です。材木を得るためには製材所を作らなければならず、鉄を得るためには鉄の採石場が必要ですし、労働者や軍人を雇うには食料が必要です。
こういうゲームは、まずクリアするミッションがあり、それをクリアすると、次のステップに進めるようになっています。
若干の裏技や課金によるスピードアップはできますが、ゲーム自体の基本構造が、ミッションを一つ一つクリアしながら、ステージを進めていくということになっています。
簡単に言えば、ステージ1からステージ2に進むには、一定のミッションをクリアしなければならず、よく日本で言われる「ラスボス」を倒すためには、相当程度のミッションをクリアしていなければいけません。
ゲームを始めたすぐは、ラスボスに会うことすらできません。
ゲームでは、非常に簡単で自明なことですが、このことが実は、教員採用試験の面接や筆記試験でも極めて重要になってきます。
面接で考えてみます。
教員採用試験の面接対策は、どの講座でも、どの書籍をみても、まずは、自己アピールから始まり、志望動機を考え、そして、教育論や人物論(趣味やストレス解消法など)の質問に答える答え方を考えるというのが一般的な準備の仕方です。
ミッションの考え方など全くなく、若干は自分の経歴や経験やバックグラウンドのことを考えつつも、学生の人も講師の人も民間企業から転職する人も、同じような講義を受け、同じような書籍を読み、同じような演習をします。
はっきりと言います。
こんな一般的で画一的な面接演習をしていたのでは、合格する人は合格し、不合格になりそうな人は不合格になります。
つまりは、面接演習によって、合格しそうな人と、不合格になりそうな人が入れ替わることはまずありません。
こうした面接演習は、はっきり言って、時間の無駄です。
面接の語りの力は若干、底上げされるかもしれませんが、演習で全員が底上げされれば、最初にあった格差はそのまま維持されます。
面接講座を受講しても、面接対策本を読んでも、面接の練習をしても、元々、面接で合格しそうなが合格し、元々、面接で不合格になりそうな人が不合格になります。
では、元々、不合格になりそうな人が、合格する方法はあるのでしょうか?
答は、もちろん、あります。
それは、ちょうどオンラインゲームのようにミッションを一つずつクリアしていくやり方です。
ほとんどの教採対策予備校や教採対策講座や面接指導者は、本当のミッションについて、教えてはくれません。
いわゆる教育的配慮なのか、建前とキレイ事と精神論と昭和の美学ばかりがまかり通っています。
だから、合格しそうな人が合格し、不合格になりそうな人が不合格になります。
そこには、ゲーム・チェンジャーも存在せず、革命的な学びもありません。
面接の準備の際のミッションとは何かについて、ごく簡単にその一部をご紹介しましょう。
ステージ1(Perception Level)
Perceptionとは、受験者が採用側の面接官にどう見られるか、どう感じられるかという、見た目・印象・雰囲気・表情など。
このステージ1がクリアされていなければ、次のステージには行くことはできません。
暗い顔して、陰気な感じで、ぼそぼそと語っていたのでは、どんなに良い内容を語ってもアウトです。
Perceptionというステージ1をクリアせずに、どんなに面接の回答の原稿や台本を書いてもダメです。
ステージ1もクリアせずに、ラスボスにはまったく近づけません。
ステージ2(Vision Level)
Visionとは、ぶれない想い、志、信念、理想、やりたいことです。
典型的には、なぜ教師になりたいのか、教師になって何をしたいのか、子供をどのように育みたいのかに関する想い、志、信念などのことです。
つまりは、志望動機・志望理由です。
さらに、自分の強みや情熱や、自分の人生観などを語る、いわゆる自己アピールもVisionの一つに入ります。
これらは、受験者としてのあなたの根本の部分です。
なぜ、教師になりたいのか(なぜ、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭になりたいのか)について、説得力を持って、具体的に、インパクトを持って語れなければ、次のステージには行けません。
つまりは、志望動機・志望理由がぐらついていたのでは、面接の他の質問に対して、いくら準備していても合格はしないということです。
志望動機・志望理由は、ごく初期にクリアしなければならないミッションなのです。
いわゆる自己アピールも、あなたがどんな魅力を持った人なのか、どういうところが教師に向いているのか、一緒に働きたいと思える人かを判断する重要な要素ですので、ごく初期にクリアしていなければならないミッションです。
さあ、ここで重要なことがあります。
志望理由は、第1種志望理由と第2種志望理由に分かれます。
第1種志望理由とは、大学生(大学院生)、講師(臨採)1〜3年目くらいの、教師のキャリアのメインストリームを歩んできている比較的若い人の志望理由です。
つまりは、もともと教師を目指していて、教師になりたい!という想いを高校生・大学生のときから持っている人たちです。
こういう人の志望理由を、第1種志望理由と呼んでおきましょう。
第1種志望動機をミッションとしてクリアするためには、以下の下位ミッションをクリアする必要があります。
(1)ここに属する人たちは、比較的、同質で、差が少ないので、どのようにして、想いと言葉にユニークさやインパクトを持たせるかの戦略が必要。無難なものに走れば、平均に埋没し、合格は望めなくなるので、いかにして、ライバル受験者に差をつけるかの戦略が肝要。
(2)抽象語に終始する語りを廃して、聞き手(面接官)を説得する語りを構築することが必要。抽象語やありきたりの言葉の羅列では、聞き手の心を掴むことはできない。
第2種志望理由とは、ユニークな経歴やバックグラウンドから、教師を目指す人の志望理由です。
民間企業に数年以上勤務してから教師を目指す、
ずっと専業主婦(夫)をしていて、かなりの年齢になってから、初めて教師を目指す、
現在、正教諭をしているが、別の自治体の正教諭を目指す、
過去に、正教諭をしていたが、いったん退職し、ある程度の年月を置いて、再び教採を受ける(正教諭を目指す)、
過去に、ミュージシャンや俳優などを数年間していて、それから教師を目指す、
50歳を過ぎたくらいの年齢で、教師の定年まで、数年しかないのにも関わらず、正教諭を目指す、
上記のようなユニークな経歴の持ち主の場合は、第1種志望理由ではダメです。
単にこういう理由で教師を目指すという一般的な志望理由では不十分であり、なぜ、これまでの経歴から教師という新たなキャリアを目指すのかについて説得力ある理由を語る必要があります。
第2種志望理由は、独りよがりで考えても、上手くはいきません。
第2種志望理由は、大胆な戦略、綿密な戦略、レトリック戦略を駆使して創り上げる必要があります。
第2種志望理由というミッションをクリアするためには、その前に、以下の下位ミッションをクリアする必要があります。
(1)前職や前の状態から、「逃げ出してきているのではない」ということを採用側の面接官に信じてもらえるだけの説得力ある理由を語ること。
(2)採用側の面接官に、あなたの経歴だからこそ採用したい、あるいは、経歴に関わらずあなたのような人こそ教師として採用したいと感じてもらえる語りを展開すること。
また、自己アピールは、その受験生の経歴やバックグラウンドによって、A型自己アピールと、B型自己アピールに分かれます。
(このあたりで、これ以上、詳しいことの説明は割愛しますね。)
ここで、まだステージ2です。
ステージはまだまだ続きます。
そして、ステージは、飛び越えたり、とばしたりすることはできません。
ひとつずつステージをクリアしていく必要があります。
それぞれのステージには、それぞれクリアすべきミッションがあります。
そして、そのミッションは、多くの場合、それぞれの個人によって違います。
例えば、ステージ1は、既に完璧な人もいます。そういう人は、ステージ1は1秒でクリアして、ステージ2に進むことができます。
どのミッションをどういう順番で、どのようにクリアして行けば、最終的に、「ラスボス」(教採で言えば「合格」)にたどり着けるのかをアドバイスし、指導するのが、教採のための講座の指導者の役割であり、職責です。
これができない指導者が、受講生を集めて、集団で、講義や演習をしても、所詮は、形だけ、やっただけということになります。
今日は、面接について、ミッションとは何かをほんの少しだけ説明しましたが、筆記試験でも同じように、自分がクリアすべきミッションを考え、ミッションを一つずつ、クリアすべき順番でクリアしていくことのみが、合格に繋がる道となります。
この方法の良いところは、あるところで、ミッションをクリアすることが止まってしまえば、合格の可能性がないということがすぐに受験者本人にわかることです。
逆を言えば、全てのミッションを丁寧にクリアして行けば、合格の可能性はほぼ100%になるということです。
河野正夫は現在、面接と筆記試験の集団講座用のGoup Missonsと、個々人が策定していくMy Missionsのフォーマットの作成にかかっています。
Group Missionsとは、集団講座で学びながらも、個々の受講生の多様性に対応できるように設計された、講座で挑戦する課題群のことです。
My Missionsとは、集団講座で学ぶ、個々の受講生が自ら策定していく、自分だけの課題群のことです。
今年の11月から始まる、教採塾の新年度の講座では、こうしたMissionの考え方をしっかりと取り入れた講座展開にしていきます。
お楽しみに!!
河野正夫