「様々な」なんて言葉を使うんじゃない!!

教師志望者の面接の語りを聞いていると、「様々な~」という言葉をよく使っています。

「アルバイトで、様々なことを学びました。」

「様々な指導を通して、子どもたちに・・・」

これでは、何を言いたいのかさっぱり分からないではないですか!!

若者の皆さん、そんなに「様々な」というほどの何十年ものアルバイト経験があるわけではないので、もっと絞って話す必要がありますよね。

例えば、「アルバイトで特に学んだことが3つあります。ひとつは・・・」といった具合に言えば、分かりやすいですよね。

「様々な~」なんて言葉を使う人は、結局のところ伝えたいことがないのです。伝えたいことが決まってないのです。

ひどい人は、面接の語りも自己アピール文も「様々な~」で埋め尽くされています。こんな語りはまったく意味がありません。面接官には何一つ伝わらないでしょう。不合格への片道切符です。

よく考えてみると、「様々な~」という言葉は、もっとやんごとなき方がお使いになる言葉ですよ。ものすごく高貴な方が。

天皇陛下とか皇太子殿下くらいのレベルの方々が使う言葉です。

例えば、天皇陛下が広島を訪問されたとします。記者会見で記者に「陛下、広島のどこが一番、お好きになられましたか?」と聞かれて、まさか、天皇陛下が、「やっぱりお好み焼きですね!!」なんてお答えになるわけないでしょ!!高貴なお方は必ず、「広島には様々な良さがあり・・・」という風にお話になるはずですよね。高貴なお方だからこそ、「お好み焼きが一番です!」なんて言えないのです。訪問地であれが好きで、これが嫌いなんていうわけにはいかないので、やんわりと曖昧にお答えになるのです。

私たち高貴でない者は、天皇陛下のような気を遣わなくても良いのです。「アルバイトで学んだことは、何と言っても~~です。」という風にインパクトをもって伝えればいいのです。わざわざ「アルバイトには様々な~」と高貴ぶる必要は全くありません。

実は、このことをモチーフにした有名な映画があります。

「ローマの休日」です。

オードリー・ヘップバーン演ずる王女様がヨーロッパ歴訪の旅に出ます。若き王女様はローマ滞在中に退屈に耐えかねて、宿舎の宮殿を夜、こっそり抜け出します。そこで、グレゴリー・ペック演ずる新聞記者に偶然出会い、その夜から次の日の夜までの一日間、二人はローマで時間を共にします。王女様にとっては、はじめての「庶民」の遊び。宮殿ではできないお茶目でやんちゃな遊びをローマで楽しみます。

その翌日、王女様がローマを離れるにあたって、記者会見が行われます。そのとき、初めて王女様は、前日を共にすごした男性が新聞記者であることを知ります。記者会見では記者たちの質問が続きます。ある記者が、王女様に次の質問をします。

「今回のヨーロッパ歴訪でもっとも印象に残った場所はどこですか?」

王女様は答えようとしますが、言葉が見つからず口ごもります。
横に立っている侍従が王女様の耳元にささやきます。

「それぞれの場所にはそれぞれの良さがあり・・・」

王女様は、それをおうむ返しに話し始めます。

「それぞれの場所にはそれぞれの・・・」

しかし王女様はそこで、我に返ったように、次のように大きな声で話し始めます。

「ローマです。何と言ってもローマです。私は生きている限りここでの思い出を大切にするでしょう。」

ローマの記者たちは大いに驚きます。王女様の言葉の本当の意味を知っているのは、グレゴリー・ペック演じる新聞記者一人。

世界的な名画である「ローマの休日」のクライマックスです。

やんごとなき王女様も、本当に自分の心を伝えるのならば、「それぞれの」とか「様々な」ではダメなんですよね。「何と言ってもローマです。」(“By all means, Rome.)と言わなければいけなかったんですよね。

教師志望者の皆さん、教採の面接では、「何と言っても」伝えたいことをコンパクトにインパクトをもって伝えてくださいね。

では、また明日!!

広島教採塾
河野正夫

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